だから気って何だよ

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1.気って何?

 東洋医学の話を聞こうとすると、必ず出てくるのが“気”という言葉になりますが、私は言われた瞬間に「だから気って何だよ」という気持ちになりました。ここに来て頂いている方もそうですかね。  

 そんな自分が“気”について書くようになるとは思ってもみませんでしたが、ブログなどを見ていて、原文などを載せながら解説をしてくれているところは多々あるのですが、私の中の「だから気って何だよ」という疑問が解消しないままだったので、そういう方の助けにもなったらと思い書いてみました。  

 

 結論から言うと、気とは「分からない」や「生命力」という意味になり、その分からないことに「気」という名前をつけたということです。

 

 例えば、一人一人に名前がありますが、それって何だよと聞かれたときに、他の人と区別するためにつけられていると考えることができます。   それだけだかよと思ったかもしれませんが、そうなんです。ただ、少し説明が必要になるものなので、少しずつ説明をしていきますね。  

  2.用語の使い方から見る気

 この気という用語ですが、もともとは物事を考え、それについて回答を作る哲学用語にもなるので理解が難しく感じてしまうのです。この説明が逆に難しいというのは当然なので、以下の質問に対して適切な言葉があるかを考えてみて下さい。  

・生死の境目は?

・何故、人は生きているのか?

・何故、宇宙が存在しているのか?  

 

 生死の違いということなら、身体の機能が動くかどうかということにもなるでしょうが、今は心臓の働きがとまりそうならペースメーカーで動かすことができますし、食事も外部から胃瘻(いろう)で取り入れることができます。  

 

 人が何故生きているのか、宇宙が何故存在しているかなんて、分からないことですし、考えてもみないのは当たり前だと思いますし、私も東洋医学を勉強しなければ考えもしなかったです。

 

 もちろん、今までで考えてこられて、自分なりの回答をお持ちの方は凄いなと思います。そういったことを考えるきっかけを伺ってみたいですね。   話がそれてしまいましたね。  

 

 先ほどの質問にあったように、生命などが成り立つという“理由”をいくら考えても明確な答えが見つけられなかったので、古代中国の人達は悩んだ末に“気”という用語を用いるようになります。   では先程の質問を再度、“気”という用語を用いると、  

・生死の境目は“気”があるかないかによって決定する。

・人は気があるから存在することが出来る

・宇宙は気があるから存在することが出来る

  どうでしょうか。東洋医学っぽい文章になっていませんか? これで、あなたも明日から東洋医学を話せるようになりますね。   まあ、冗談はさておいてこのように、“分からない”ということが“気”という用語を使うことによって文章として成立ちますね。

ということで、この“分からない”けど“何かの力がある”ということが“気”という用語に込められる意味にもなります。   これが東洋医学の考え方のスタートラインです。最初と比べると、全く分からないというところから、何となく分かるような分からないような感じに変わりましたか? 私自身も東洋医学を勉強し始めた時に、分かったような分からないような状態が続きました。

 

  3.“気”という用語を理解する

 ただ、私たち日本人は“気”という概念は自然と理解をしています。例えば、元気という用語がありますが、どのようなときに使っていますか?   「最近、元気がなくて」   というときに何を意味しているかというと、何となく力がでないし疲れやすいというような意味ですよね?

 

 では、“気”とは“分からない”“何かの力”ということで、この元気がないということを詳細に見ていくと、   「最近、分からないけど何となく力がなくて、生命力が低下したような感じがする」   というような意味で普段使っていませんか?  

 

 普段、使っている言葉ですが、私たちは自然と“気”とは“分からない”けど“何かの力”または“生命力”というので理解をしているはずです。ということで、   「気とは○○である」という断定ができないものになります。あえて簡単に断定するなら、「気は力」とするのはいいかもしれません。  

 

 日常生活で使っている“気”がつく用語   他にも“天気”と言えば、晴れ、雨、曇り、雪などを表していますが、これは天の気の働きという意味になります。他にも雰囲気というように、その人の持っている何とも形容し難い、力や能力、人柄というのを“分からない”ので、“気”という用語を用いることによって理解しようとしているのです。  

 

 言葉があると完全な意味が分からなくても、何となく伝わりますよね?   これが“気”という用語でもあり、“気”は“分からない”“生命力”“見えないもの”というような意味が複合されていき、現在、皆さん方が使っている用語として残っているのです。  

 

 “気”が含まれる用語は日常でよくありますが、今まで説明したように元気や天気という用語がありますが、それ以外にも強気・弱気を、「強そうな力、強そうな意見や態度」・「弱そうな力、弱そうな意見や態度」というように一つの断定した言葉ではなく、“目に見えない”もので、状態や情勢を表すときにも“気”という用語を使うことによって他の人にも伝えることができるようになります。   言葉は、話すのも書くのも人に何かを伝えなければいけないので、見えないものを伝えるのに、この“気”という用語は便利な物になります。人が生きているという生命現象や物事が成立しているという現象を「気」として伝えています。

 

 気に関しては身体の状態を考える時には種類と作用の話がありますので、気の種類と作用に関してはこちらのブログを参考にしてみてください。

気には分類がある

生命現象と気―気の作用

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