現代医学と東洋医学は違うというのはよく聞く話ですが、では具体的に何が違うかというのを明確にするのは難しいとも思っていますが、両医学の同じところを考えてみて、それから違うところについても書いてみたいと思います。
・現代医学と東洋医学の同じところは何か?
現代医学も東洋医学も生命の治療に対するとしては同じです。そのために、治したいという気持ち、何をすれば治るかと考えているのも一緒です。
もし、生命というものがどういうものであって、何故、症状が現れたり、治ったりするのかということが完全に分かっていれば、この世界の中で確立した医学は一つになるのではないかと思います。
・違いを生み出したのは何か?
生命というもの自体が分かっていないので、治療自体も確立した一つのものになることはないし、その結果、様々な医療やこれで治ったという体験談が多くあり、医療体系も一つになることがないのが現状です。
現代学も東洋医学も先ほどに書いたように医学ということでは同じということは分かるのですが、違いは何かと考えたときに、生命に対するアプローチが違うというのが、両医学の違いの根底にあると思います。
症状があるのを治したいということを考えたときに、医学を志している者がどう考えるかということですが、まずはその症状が何故起きたのかを考えます。
その時に、その症状はその部分が問題ではないかと考えていく方法と、原因は違う場所にあるのではないかと考える方法の二つがあります。
例えば、腰が痛いという人がいたときに、皆さんだったら原因を含めて考えるとしたらどのように考えますか?
一つには、腰が痛いということだから、腰の筋肉、骨、関節、靱帯に障害が出たのではないかと考える人が多いでしょうし、そこで原因が分からなければ、内臓の障害から腰の痛みが生じたのではないかということで内臓を調べた方がいいのではないかと考えるのではないでしょうか。
この考え方をしていくのが現代医学の特徴になります。まず、その部分の問題を考えていき、そこから広げていくような考え方で、木を見て森という環境を考えます。
もう一つの考えは、腰が痛いということは何か他に原因があるのではないかと考える方法になり、これが東洋医学の特徴と言え、木を見るのに森を見るともいえます。
ただ、東洋医学も初めから形が出来ていたわけではないですし、長い時間を経過してゆく中で、症状だけを治療していても治らないということから現在の形になっていったのではないかと思います。
痛い場所をさすったり、叩いたりしてもなかなか治らなかったのに、他の場所でよくなったので、そこには何かのつながりがあるということで、経絡などの概念が発達したのだと思います。
例えば、砂漠の地域に植物を増やそうと考えたときに、砂漠地域で生育する植物は何かを考えるのが得意なのが現代医学とも言え、砂漠をなくすためにはどのようなことをすればいいかを考えるのが東洋医学とも言えますが、本来はどちらも大切なものであり、どちらの視点も持っていないといけないとも言えます。
世界各地にはそれぞれの地域に根差す伝統医学がありますが、どうしたら治るか考える歴史を積み重ねていき、体系だったところに機械技術の発展によって細かく物事を見ることが出来るようになってきたので、その部位を詳細に見る現代医学が発達をし、病気の原因を何としても知りたい人が多くいたので、拡大していったのが歴史的背景だと思います。
しかし、人にはやはり得意と不得意、好きと嫌いがあるので、考え方がどちらかに専門化していったというのが東洋医学と現代医学の違いを生み出していったと思われます。
そして、発展してきた地域から考えて現代医学を西洋医学とも言われていきます。
このように考えていくと、現代医学と東洋医学の違いを生み出したのは、人の考え方でもあり、機械技術の発展でもあると考えられます。
・現代医学と東洋医学の違いは何か?
これまで書いてきたように、両医学とも治したいという根底は同じになるのですが、東洋医学は機械技術の発展する前から存在する医学になるので、どのように治るかということに関して、その当時の考え方を中心として変化・発展してきていますが、その根底にある考え方の原典は昔にあります。
代わって現代医学は、機械の進歩とともに、治療内容が変化していき、まだまだ変化を遂げている段階にありますが、その根底にある考え方は、詳細に見ていこうとすることです。
そのため、現代医学は近年では遺伝子などを調べることによって壊れたものも治すという再生医療という分野にも進み、生命を作りなおすというところまでいくのではないかと思います。
もし生命を生み出し、造り直すことが出来るのであれば、病気になったとしてもよくすることが出来ると思いますが、ゲームの世界のようになってしまい、身体や物を大切にしなくなるのではないかという倫理的な問題もあります。
このように考えていくと、それぞれの医学の違いは現代医学はまだまだ進化・発展の途上でもあり、考え方や治療も変化をしていっていますが、東洋医学は昔に存在している用語を用いて生命について解説をしているものであり、その考え方自体が特徴でもあり、現代医学との違いとも言えます。