東洋医学の陰陽って何?

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東洋医学の思想には東洋哲学思想が多く含まれますが、その中で有名なものは“気”、“陰陽”“五行”になると思います。陰陽も五行も内容も多く、覚えることが大切と資格取得の段階で言われることが多いでしょうが、その成立した“考え方”を理解することが大切になります。

私自身も、陰陽を理解するのには時間もかかりましたし、今でも完全に理解出来ているわけではないですが、こうやって書くことも出来るようにはなってきているので、自分の言葉で説明できるようになっていけばいいと思います。

 

・日々は選択の積み重ね

東洋哲学・東洋医学では物事が一つという“気”の思想や天人合一思想というものがありましたが、何かを考える上では物事を細分化しないといけなくなります。では細分化するのには何が基本かというと、2つに分けることになります。

 

例えば、日常生活も2つに分けられていて、日々の生活は全て物事を2つに分類するところから始まります。

「起きるか」「起きないか」、「食べるか」「食べないか」、「仕事に行くか」「仕事に行かないか」、「布団に戻るか」「戻らないか」ということで繰り返すことで、日々の日常生活が成り立っていきます。

パソコンも「0」と「1」を割り振っていき、複雑な動作を可能にしています。人間の生活も同じようで、一人一人違う生活や結果になっていますが、これも2つの選択によって成り立っていると言えます。

 

では、この2つに分けるというのを考えたときに、どのような用語を使うかということで、古代中国人は自然を見たときに、「明るい」「暗い」というのが自然の中にあるのが当たり前なので、これを陰陽という言葉で分類していきました。

 

漢字圏である我々は、この陰陽という思想は普段から触れることがあり、何となく分類しています。例えば、「陰気な人」「陽気な人」というように、「明るい」「暗い」で分類をしていますよね。意味がわからなくても何となく分けていますが、何となくでも分けられますよね。ただ、物事を分けるためにはルールは決めないといけないので、前提を知る必要がありますが、下記のように分類することができます。

 

陽:明、上、外、動、熱、機能

陰:暗、下、内、静、寒、物質

 

陰陽を分ける際には対立した言葉が必要になり、日が当たるところは明るいので陽、日が当らないところは暗いので陰から始まり、他にも物事を分類していきます。上や上に昇る性質、外へ向かう、活動、活発は陽になり、その反対である、下や下に降りる性質、内へ向かう、静かは陰になります。上記の陰陽の分類は対立したものですよね。

 

・日常生活での陰陽

この陰陽論でどのように考えていくことが出来るかということですが、例えば一日を考えて

 

起きる(陽)→食べる(陽)→仕事に行く(陽)

起きない(陰)→食べない(陰)→仕事に行かない(陰)

 

というように、日々の生活を考えると、パターンが完成します。今は3つだけですが、この2つの選択を一日でみれば、

 

陽           →           陽           →           陽           →           陽           →           陽

 

というように生活を陰陽で考えることができ、何か問題が生じたのであれば、どこの選択だったかを簡単に見ることが出来ます。例えば、成功を陽、失敗を陰とすれば、ビジネス本で書かれるような成功者の行動は陽の積み重ねともいえます。

 

朝活:動(陽)→運動:動(陽)→仕事を早く 動(陽) →人と会う 動・外(陽)

 

ただ、このように動き続ければ体力が持たないので、しっかりと休息(陰)を取ることが大切になるので、遅くまで飲まず(動を少なくいということで陰)、しっかりと寝る(動がないということで陰)ということで、一日の中で陰陽のバランスを大切にすることが大切だと言えます。

 

 

・分類としての陰陽

先ほどまで、一日に生活を陰陽で分類し続けることが出来るという話を書きましたが、これは陰陽がいくらでも分類し続けることが出来ると言う話になります。最初に書いたように対立した用語を用いるという前提が必要になりますが、例えば、様々な電球を1000個集めた時に(そんなことしないというのは最ですしあくまで例ですが)、明るい・暗いで半分にして下さいと言われたら、正しいかは別にして何とか分けることが出来ると思います。

 

陰陽に分けられた500個の電球の中で、陽の500をさらに陰陽で半分に分けろと言われたら、同じように分けることは可能です。これを言葉で説明すれば、250までにわけられた陽は“陽の陽”と表現することができ、さらに分けて行くことが出来ます。

 

この“陽の陽”と表現することが出来れば、「この電球は“陽の陽”です。」と伝えれば、1000個の中で明るいものだったのだということが相手に伝わります。

 

この考え方を応用したのが、病気としての陰陽の分類であり、病気の状態を分類していくのに役立ちます。特に数値化が図れないものなどには便利です。

 

例えば、この陰陽の話は、身体の寒熱バランスについて使われることが多いのですが、冷え症の人は陰、暑がりの人は陽と分けることができますが、冷え症の人を集めてさらに陰陽と分類をしていけば、陰陰となった人は冷え症がかなり悪いというのが他の人にも伝えることができます。こういった使われ方は、様々なところにあるので、東洋医学の思想背景には陰陽論があると考えられます。

 

 

・変化する陰陽

変化する陰陽と言うと、何のことだかさっぱりわからないものになってしまうと思いますが、これは自然の変化を陰陽で考えるということです。

 

余計に分かりづらいかもしれませんが、“陰は冷やす”、“陽は温める”ということで陰陽を考えた場合、朝・夜は冷えて、日中は温かいというのが日常になります。そこで、この自然法則を陰陽で解説すると、朝・夜は陰が強く、日中は陽が強いと表現することが出来、これは一年の気候変化にも繋がり、冬は陰が強く、夏は陽が強いと言えます。

 

天人合一思想ということで、人と自然は同じということから、人の体温も朝・夜は低く、日中は高いので、朝・夜は陰が強く、日中は陽が強いと言えます。

 

この温度・体温が変化する力というのも、何が大本か分からないので、通常は陰気・陽気と表現することが多いです。

 

例えば、夏は陽気が強く、冬は陰気が強いと表現できますし、夏や冬の間には春と夏があるので、春は陰気から陽気へ変化していく過程と表現することができるし、秋は陽気から陰気へと変化していく過程と表現することができ、この働きは終わることがありません。もし、終わるとしたら地球か宇宙が終わりになってしまうと思います。

 

東洋医学ではこの陰陽論の考え方というのが随所に見られるので、最初は何となく学習を進めていってもいいのですが、全体を何となくつかんだら、もう一度、考えて自分の中で理解を深めていくのが大切な知識になります。

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