三陰三陽とは身体を分類するということ

Pocket

物事を2つに分ける陰陽論と物事を3つに分ける三才思想に関しては、ブログにも書きましたが、この2つを応用したものに、三陰三陽思想というのがあります。三陰三陽の考えは身体の部位、経絡、病の進行というように様々な場所で用いられるもので、覚えるまでは意味不明なものです。

かくいう私自身も勉強し始めたころは、今まで見たことも考えたこともないものなので、ひたすら暗記するしかなく、自然と出てくるまでは時間がかかりましたし、正直、苦痛でしたね。ただ、自然と出てくるようになると、非常に便利なものであると実感ができたので、是非、覚えて欲しいです。

 

 

三陰三陽思想というものができてきた背景には細分化するという考えがあったと思います。陰陽論だけだと2つに分類し、その後にまた2つになり、三才思想だと3つに分けてまた3つに分けることができますが、これを続けて細かく分けて行った場合、煩雑になるだけで、結局どうすればいいのかが分からなくなります。

 

例えば「陰陰陰陽陰陰陰陰陽」とした場合は、「結局は陰?」というように分類が煩雑になれば処理が大変になり、分かりづらさが生じます。三才思想も「上下上下中上下下」となったら何を言っているのか分からなくなりますが、「結局は中?」というように、分けたつもりが分けていないことにもなってしまうことがあります。

 

大数の法則というのがありますが、これはコインを投げて表・裏とやり続けて行くと、表・裏の出現確立は結局50%の確率になるのと同じで、分類したつもありが元に戻ってしまうということが、この陰陽論・三才思想にも生じると思います。

 

いろいろ説明しましたが分かりづらいですよね。では、どうしたら分かりやすくなるかと言えば、分類は少なくした方がいいですが、それだと単純すぎるので、陰陽論と三才思想を2つ合わせてしまいます。

そうすると、陰を3つに分け、陽を3つに分けることができ、分類も6つになるので、分類をし続けなくても、やや複雑化します。

 

この考え方は病気の診断や身体の捉え方に非常に便利なので、多く用いられることになり、経絡の名前にもこの三陰三陽の思想が使われていきます。

 

身体の診方で考えれば、陰陽論なら内・外、前・後という区分になりますが、三才思想を用いると、身体の前・後・横になり、どこが問題化ということを考えるときに具体的になります。これに陰陽論を加えると前・後・横の内・外と陰陽論よりも詳細に身体の部位を分けることが可能になります。

 

・三陰三陽の詳細

三陰三陽は

三陰:太陰、少陰、厥陰

三陽:陽明、太陽、少陽

であり、左側から陰・陽が多いもので、右側が少なくなっていくものになります。そして、この上下、つまり太陰と陽明、少陰と太陽、厥陰と少陽はセットとして扱われることが多いです。

 

・経絡の三陰三陽

先ほど、身体の前・後・横の内・外ということで、身体の方向による分け方が3つ、内・外で

3×2=6

になりますが、経絡の考え方では、この6を使い身体を把握していくことになります。

経絡では6をさらに手・足に分けることによって

6×2=12

にするのですが、これで12になるので、経絡の数は12が基本となります。陰陽論や三才思想だけでは身体を細分化できないので、陰陽と三才思想を合わせた三陰三陽を使うことによって身体を細分化しているので、経絡の中での三陰三陽の名前を覚えることが東洋医学の学習では重要になってきます。

 

身体の全面は太陰と陽明、身体の後面は少陰と太陽、身体の側面が厥陰と少陽としているのですが、実際の経絡の走行とは少し違いますが、考え方としては大切なものになります。

 

・病の伝わり

病の伝わり方としての三陰三陽も有名なのですが、これは『傷寒論』という書籍で考えられた概念で、三陰三陽で分類した6つの中で病が進行していくという考え方です。

太陽→少陽→陽明→太陰→少陰→厥陰

というように、病が進行していく状態を表すので、身体の状態や症状を確認することによって、その人がどのような状態にあるかを確認することになります。

この三陰三陽病は六経弁証という方法でも使われるものなので、長くなるので別で説明した方がいいかと思いますので、今回はここまでにしておきます。

Pocket