気には分類がある

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気の話となると、一般の方からすれば意味不明な単語を話す人に思われると思いますが、身体の状態を把握するために、なくてはならないものです。専門的に知らないので仕方がないのですが、一般の方も気については理解できます。

例えば、体調が悪い人が側にいたときに、

「今日は元気がないね。」

「体調が悪いの?」

と話しかけると思いますが、ここで言う元気とは何でしょうか?

 

気という言葉を使っていますよね。元気とは東洋医学で考えたときには、生命力と考えていくものであり、元気がないということは生命力が低下していると考えます。これは一般の方も同じような感覚で捉えていると思います。

 

詳細にみていくと、東洋医学では元気(原気)とは生命力と関わりがあり、弱くなってしまうと、疲れやすい、倦怠感というのが生じた状態を指します。体調が悪いと、疲れやすい、倦怠感は生じますよね。この場合は元気を強める治療をするという考えでいいのですが、東洋医学ではもう少し細かく気を分類していきます。

 

例えば、同じような倦怠感でも

「風邪をひいて倦怠感がある。」

という場合では、元気の問題も生じていると考えられるのですが、風邪に対する抵抗力が弱くなってしまっているというのが原因でもあり、これは衛気(えき)という気が問題となってきます。

風邪をひいて体調が悪いので、元気(生命力)の低下というよりも、衛気の問題が生じているので、この場合は元気よりも衛気を治療した方がいいと言えます。

 

風邪をひくと、さらに咳が続いたりしますが、この場合は、呼吸に関係する宗気が問題になっていると考えられるので、治療としては、衛気も重要になりますが、宗気に対して治療を行った方がいいと考えます。

 

「元気がない。」という体調が悪いということも、身体の状態を細かく聞くことによって、治療内容が変わっていくので、気には分類が存在しています。他にも顔色が悪ければ、顔の栄養も不足しているので、栄養を与える働きがあるという営気の問題が生じている場合があり、どれが重要かを考えていきます。

 

では、

「風邪をひいたからか体調が悪く、顔色もよくないし、咳もでて、動きたくない。」

という状態になったら、今まで例えで使った例よりも悪いということが分かりますよね。実際にこのような状態になることは多くの方が経験したことがあると思いますが、栄養を取って、休むことが大切だと理解しますよね。

東洋医学的にも元気・宗気・衛気・営気が弱くなっているので状態として悪いですが、最初に何を中心に治療をするかを考えていくことが大切になり、

・原因が風邪だから衛気から治療

・体調が落ちているので体調を戻すために元気から治療

・咳がひどくて眠れていないから宗気から治療

・顔色もよくないし栄養も行き渡っていないから営気から治療

というように、治療するパターンが出てきますが、これは患者さんの状態を把握して一番の問題はどれかを考えていくものであり、治療者自身の好みにもよって選択が変わっていきます。

 

これが東洋医学的な気の分類から身体を把握していくものであり、身体の状態を「ただ元気がない」や「体調不良」で済まさずに、問題がどこに生じていて、何をすればいいのかを考えるきっかけとして気の分類が大切になります。

 

体調が悪いと感じたときは、どの気が問題なのかを考えていくことが東洋医学的な治療を行っていくことでは大切になるので、自分自身の体調が悪くなったときは、どの気の問題なのかを考えるのが東洋医学の知識の習熟に大切になります。

 

それぞれの気が関係する内容は下記の通りです。

元気:生命力

宗気:発声・呼吸・活動

衛気:環境から身体を守る働き・温める

営気:血流

 

 気に関してはこちらのブログも参考にしてみてください。

だから気って何だよ

生命現象と気―気の作用

気血津液弁証

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