気は陰陽論で分類されるー気の種類

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元気・宗気・衛気・営気については以前にもブログにも書きましたが、この4つの気というのがどうやって考えられたかと言えば、人が生きている状態をそれぞれの気により分類していった結果になると思います。

1.宗気と元気

人が生きている状態を分類すると言っても意味不明になってしまうかと思いますが、東洋医学では物事の分類には陰陽論を用いるのという話を以前にしたと思いますが、気という単語だけでは分からなくなるので、人が生きている状態をまず2つに分けていきます。

 

分け方は、生きている状態(生命がある)と、動く(活動、発声などの行動)ということに分けられます。ということで、

・陽→宗気→身体を動かす力

・陰→元気→生命力がある

というように分類することによって、体調が悪いのは、生命力が弱いのか、活力が低下したのかを分類することが出来るので、治療で考えていくときにも生命力の問題か、活力なのかを考えていくことが出来ます。

 

ただ、体調が悪い人は、寝たままになり、身体を動かすのも辛いので両方に問題が起こることが多いのですが、その中でも例えば、話す力はあるのならば宗気には問題がないかもしれないと考えていくことが出来るので、体調が悪いという人でもランクを分けることが出来ます。

例えば、元気10・宗気10が正常だとしたら、元気8・宗気4の人もいるでしょうし、元気4・宗気8の人もいるので、身体の状態は同じではないと考えることができます。

 

さらに、この元気と宗気は陰陽でさらに部位も分けられます。

・陽:宗気:上部

・陰:元気:下部

という陰陽論を部位として用いることによって、上半身が弱い、下半身が弱いということでも元々の体質を考えて治療を組み立てていくことが出来ます。細かく言えば、宗気は胸と関係し、元気は下腹部と関わるので、胸を丸めている傾向のある人は宗気が弱くなりやすいのではないかと考えることができます。

元気については、下腹部と関わるのですが、健康なお腹の定義は下腹部がふっくらしているという状態なので、現代の人からすれば、避けたい状態にもなるので、診断は難しくなることが多いです。下腹部だけをへこまして、他が出ているという人が結構いるのですが、この気の考えで言えば、下腹部をへこましている人というのは、元気を消耗していることがあるので、無理なダイエットなどをしているのではないかと考えることが出来ます。小学生前の小さな子どもは元気一杯ですが、お腹を見てみると全体がぽっちゃりしている傾向もあるのですが、下腹部はぽっこりとしていますよね。

 

2.衛気と営気

このように元気・宗気という言葉だけでも身体の状態をいろいろと考えていくことが出来るのですが、さらに身体の状態を分類したものが、衛気と営気になります。

・陽→衛気→防衛の衛という漢字が示すように身体を守る力

・陰→営気→身体を栄養する力

というように衛気と営気も陰陽で分類します。ただ、元気・宗気で身体の状態を説明もでき、環境適応する力がある人は外側に対応する力が強いので衛気が強いとも言え、営気が強いと内側に対応する力が強いので血行がしっかりしていて営気が強いと言えます。

 

衛気は、身体を守ったり、風邪などから身体を守ったりする働きがあり、営気は東洋医学で言う血の流れをスムーズにする働きがあります。例えば、同じ環境でも風邪をひいてしまいやすい人っているでしょうし、なかなか治らないという状態もあると思いますが、これは衛気の問題と考えていきます。

 

営気は血の運行や生成と関係するので、血行が悪くなってしまったりするということになるのですが、東洋医学の考えでは、血の問題と密接な関係があり、営気の問題は血の問題として考えることも多いです。

 

衛気・営気はさらに元気・宗気と同じように部位でも陰陽の分け方があり、

・陽:衛気:脈外(身体の外側)

・陰:営気:脈中(身体の内側)

と分けることによって、元気・宗気の上下で分けるのではなく、内外で分けていきます。例えば、体表の問題を考えれば、皮膚、発汗は体表に起こるものなので衛気の問題と考えることが出来ます。営気は体内になるので、血行不良は営気の問題として考えていきます。

 

3.まとめ

東洋医学で最初の段階で気の分類を学習するのですが、この気の分類は陰陽論がもとになっていると考えられ、身体の生きている状態や病に関して4つの気で考えていくことが出来ます。

私自身は、国家試験を受験するときは問題を解く上では悩まなかったのですが、治療をしながら勉強をし直したときに、この気の分類は何のためにあって、どういうことなのかを理解するまで時間がかかりました。

今は、陰陽論で分類したときに、気という単語だけでは説明がつかないので、便宜上として元気・宗気・衛気・営気という用語を使うことにより、生命や病気に対して説明をしやすくしたものだと認識しています。

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