鍼灸学校を卒業して治療をするようになってから、いろいろな書籍を読んだり、講習会に参加したりして、いい治療があれば自分に実験して患者さんの治療に使っていたのですが、効果が感じられるものが少なかった印象でした。
学校では肩の前の痛みであれば合谷を使えば大腸経の治療ということで痛みが軽減することもあるし、肩前面の局所として肩髃を使っていけば治療効果が見られるという話を聞いたのですが、実際に使ってみると何とも効果が見られないということで現場に出て絶望した思い出があります。
肩の痛みだけではなく、他の関節疾患や内科疾患でも同じでした。それでも、どこかで効果を出さないといけないのが治療なので、その場その場で何とか日々を過ごすのが数年続いて、何となく、患者さんの痛みや主訴の改善が出来るようになっていくのですよね。
ふと、昔に習ったことは本当に効果がないのかという疑問が生じたので、肩の前面の痛みに合谷や局所に鍼をしてみたら、効果が出たのですよ。自分が一番びっくりしました。
友人達は、合谷や局所でも変わるという話もしていたので、何が問題だったのかを考えてみたところ、鍼の技術が変わったというのが一番だったと思います。具体的には、刺入スピードも速くなったのはあるのですが、無理に刺入するのではなく、身体の抵抗を感じているけど、遅くないという自分の最適な刺入スピードが出来るようになったのだと思います。
まだまだ完成という訳ではないですが、自分なりの鍼の刺入の仕方というのが出来てくると、今まで効果がなかったというのも自分の技術不足が大きかったのだというのが分かりました。そうなると、今までやらなかったのも本当は効果があるのではないかと思い、実際にいろいろ使ってみるようになりました。
全てが完璧に使いこなしている訳ではありませんが、昔に使えないと思っていたのも使えるようになっているし、いまだに使えないものもあるしで、過去に学んだ内容を再度、自分の中で使える・使えないに振り分け、使えないものは宿題だと思うようになりました。
いろいろ勉強や練習をしてみて、今は効果がなくて使えなくても使えるようになるには、自分の中でしっかりとした技術にしないといけないというのが分かったので、勉強や聞いた内容は忘れないようにしたり、データとして残したりするようになりました。
過去の資料とか捨てたのも多いのですよね。今になって考えてみるともったいないことをしたかなとも思います。