五行論にも陰陽論が含まれる?

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 国家試験の過去問などを見てみると、五行論と陰陽論は別の理論で交わることがないという考え方になるみたいなのですが、本来は陰陽論も五行論も相互に影響し合い、関係しているものになります。

1.陰陽論と五行論

 例えば、五行説では木火土金水と分けることが出来るのですが、この木火土金水は陰陽で分類をすることもできます。陽に該当するのは木火、陰に該当するのは金水になり、土は全体を統括する概念や場とすることが出来ます。

 

 土の概念がちょっと理解しづらいのですが、例えば上下と分けるであれば、間が必ずあるので、間と考えるのがいいかと思います。一枚の紙があったとしても、紙の表裏(上下・陰陽)があったとしても、かならず間が存在して、上と下が一つになることはないですよね。これを統括とか陰陽を成立する場として考えます。

 

 陰陽論は細分化を行えるという考えというのは説明をしたかと思いますが、ここで分けた木火、金水もさらに陰陽に分類することが出来ます。

  • 木:陽の陰
  • 火:陽の陽
  • 金:陰の陽
  • 水:陰の陰

 

 これは季節として考えることができ、一年という空間の成立させているのが土であり、夏・冬という陰陽が非常に強い状態を火・水として考えることが出来ます。春・秋という陰陽が強まっていく状態を木・金として考えることによって一年の四季を現すことができます。

 

 各季節の変わり目は、木・火・金・水の働きが弱まるとも考えられるので、土の働きが強いと考え、土用という表現があります。

土用:四立(立夏・立秋・立冬・立春)の直前約18日間ずつ

 

 土用は土用の丑の日で有名ですよね。これは現在のバレンタインデーみたいなもので、バレンタインデーがチョコを渡すというのはメーカーが作った流れで商売が入っていますが、土用の丑の日も商売に使われたものになります。

 

 むしろ、土用の丑の日は季節の変わり目で調子も落ちやすいので身体に刺激が強いものよりも素食の方がいい時期になります。ただ、旧暦・新暦と考えたら、いつが正しいのかは難しくなるので、暦も陰陽五行の考え方があったと知っておくのはいいと思います。

 

2.暦と陰陽五行

 暦を決定していくのには、日時を細かく分類しないといけないので、そこで用いたのが陰陽五行説を使った考えであり、十干十二支(じっかんじゅうにし)と言われ干支と言われます。

 

 干支と言われれば、自分の干支ということで十二支を尋ねる意味で使われますよね。本来は十干と十二支を合わせたものになります。十干・十二支は陰陽で分類されて、十干と十二支を組合せると60になるので、正式な暦は60年に1回なので、60歳で還暦祝いをすることになります。これは年や月日にも用いられています。

  • 十干:甲乙丙丁戊己庚辛壬癸
  • 陰陽:陽陰陽陰陽陰陽陰陽陰
  • 五行:木木火火土土金金水水

 

十二支

  • 春(陽):寅、卯、辰(五行は木、木、土)
  • 夏(陽):巳、午、未(五行は火、火、土)
  • 秋(陰):申、酉、戌(五行は金、金、土)
  • 冬(陰):亥、子、丑(五行は水、水、土)

 

 陰陽五行で物事を理解していこうということで、よく分類を考えて行っていたのだなと思います。昔は食べ物を作るのも非常に大切なことで、国を維持するために食糧がベースにあったので、食べ物の生育を考えるのにも暦は大切だったのだと思います。

 

3.体内での陰陽五行

 この陰陽五行を組合せた考え方は、身体の生理的な働きの中にも現れています。

 

例えば、火と水はそれぞれ陰陽の極みと考えることが出来るので、身体の陰陽バランスでは正反対になるのですが、一人の人間を形成するのには、陰陽が合わさることが必要なので、陽と陰の極みが必要にもなり、連携をしているとしています。これが教科書で言う、心と腎の相互関係ということで心腎相交という働きになると思います。

 

 木と金は陰陽の極みではないのですが、これも身体のバランスとして重要なものであり、教科書で言う、肝の昇と肺の降という上下のバランスがあると言われていきます。

 

 この陰陽五行の働きをベースとして体内の臓腑を分類していったので、相互の関係を理解するのには、陰陽五行を理解しておくことが大切なのだと思います。

 

 東洋医学を学習している人が陰陽五行をしっかりと理解することが大切だというのは、学生時代は分かりませんでしたが、自分で勉強をするようになって、大本は陰陽五行にあるのだなと思うようになりました。

 

 哲学的概念なので、完全に理解するというのは難しいですが、少しずつ考えの中でも出てくるようになったかなというところです。

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