症例2_解説と治療

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 症例2の解説と治療ですが、腎陽虚証による腰痛と考えていることができます。ぎっくり腰自体は腎の問題というより、腎の問題が続き、腰部の気血の流れが悪くなったのと同時に、腎経の表裏である膀胱経に問題が生じたためと考えられます(経脈・経筋)。

1.解説

 もともと腰痛持ちだったということから膀胱経の働きが低下していたのか、何となく痛いような感じだったのであれば腎の障害とも考えられるので、その辺りは問診で再確認することが必要です。

「昔はだるいような痛みでしたか?」

「運動などで怪我をして痛みが出たのですか?」

というように、何となくあるのか、きっかけがあるのかを尋ねておくことが大切です。

 

 出産後に生じているとのことで、出産は気血精の損傷をしやすいもので、産後の養生が大切と言われますが、生活が忙しそうなことから、産後の養生が足らずにもともと弱い腎精の不足が起こったと考えられます。

 

 睡眠での問題がないことから心の問題がないのではないかと考えることができます。腎陽虚と脾陽虚は併発して脾腎陽虚となることも多いですが、食欲に問題がないことから脾に影響がないのではないかと考えられます。やや軟便気味になるのは腎の二陰の働きで怒るのではないかと思われます。

二陰:前陰(外生殖器・小便口)、後陰(大便口)

 

 小便の回数は分からないということだったが、この場合は人との比較で尋ねると答えやすくなることが多いです。

「人と比べてトイレが近い方ですか?」

男性と比べると女性は膀胱容量が小さいので、同性と比較する方がいいです。

 

 陽虚で冷えが生じているので、寒の凝滞によって気血の動きが阻滞していることもあり、血瘀が発生していることがあるので、血瘀が生じているかの痛みの状態や月経に血塊があるかどうかを確認しておく方がいいです。血瘀であれば、刺されるような痛みや夜に痛みが生じることが多いです。

 

 陽虚の腰痛だと、腰部が冷えるような感じや触れると冷たいことがあるので、問診で尋ねるか、触診で確認をすることも必要になります。

 

2.治療

 腎陽の不足に対しての治療は、腎の働きを強めることによって陰陽を高めることが出来るので、腎に関する経穴を使うことが大切になるので、太渓は使いやすいと思います。太渓の使い方としてよく言われるのは、切皮して5㎜程度刺入した後、動脈拍動で鍼が揺れる位置がいいとも言われます。

 

 陽気の不足を補うのには、関元や命門なども中医学の書籍などでは出てきますが、他には、寒府と言われる膝陽関を使うこともできます。学生時代は足陽関で習いましたが、現在は膝陽関になったみたいですね。

 

 膝“関”節の外(陰陽では“陽”)で陽関というみたいですね。治療効果は大腿・下腿と言われますが、腰痛があるときは胆経(大腿筋膜張筋)の緊張も強いので治療効果もあります。禁灸穴ということですが灸頭鍼を使うと心地良いところでもありますね。

 

 腎の問題なので、腎兪や表裏の膀胱兪を使うのも効果的ではありますが、身体が前かがみで陽側が伸ばされ、陰側が短縮しているので、陰蹻脈を使うこともできるので、照海もいいと思います。

 

 陰蹻脈の病は、「陽が緩んで、陰がひきつる」ということで身体の陰陽の面に対しての話しになりますね。

 

 腰痛ということなので、他にも督脈の後渓、腰腿点、陽蹻脈の申脈も使えると思います。ぎっくり腰は膀胱経の走行なので、睛明から治療できると言われるのでやってみたことがあります。

 

 鍼が下手だったからかは分かりませんが、少しの改善はみられました。何度も行っていないので、検証が必要ですが、睛明以外でも頭部で効果がありそうですね。頭部に関しては、頭皮鍼や山元式新頭鍼療法がありますよ。

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