月経のメカニズムー東洋医学で考える月経

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 治療をしていると体調が悪い女性で多いのが、生理痛がひどかったり、月経不順があったりという月経に関するトラブルを持っている人が多いです。最近では、不妊治療で鍼灸という方もいるので、そういった方も月経を整えるのが大切になるのですが、月経のメカニズムをしっかりと知っておくことが大切です。

1.月経に関係する臓腑

 生殖器が機能する基本は腎精(天癸も関係)が重要になり、脾が補う働きがあります。月経自体は血が出てくるものなので、血と関係する肝の働きが重要で、脾の血を生みだす働きも必要になります。

 

 精と血は相互に補完しあう関係があるので、精血同源・肝腎同源という話もあり、女子胞との関係でいえば、肝腎が重要になると考えられます。特に肝の疏泄の働きによって月経が発来するので、女性の治療においては肝の状態を気にする必要があり、肝を先天として考えるとまで言われます。

 

 脾には統血の働きがあり、女子胞に流入した血が外にあふれないようにしておく働きがあります。もし、統血の働きが低下してしまうと、不正性器出血(崩漏)や月経が早くなってしまう経早、月経血の量が多いという症状が発生してしまいます。

 

 簡単にまとめると以下のようになります。

  • 生殖器成熟:腎
  • 生殖器機能:肝
  • サポート:脾

 

2.月経に関係しやすい経脈

 女子胞に関係しやすい経脈は、督脈・任脈・衝脈になるのですが、流注で考えると、肝経は生殖器に走行するので、この4経脈は重要だと考えることができます。

 

 奇経の3脈のうち、衝脈:公孫穴は切皮痛も生じやすいですが、使いやすい場所でもあるので、よく使われる傾向があります。肝経は先程も出てきたように、生理的な働きでも女子胞と関係しやすいので、月経の問題に関しては使われることが多いところになります。

 

3.月経周期異常

 月経周期は28日周期と考えられ、それより早く月経が来る状態を経早、遅い状態を経遅、乱れる場合を経乱と言います。

 

経早は、血を留めておけない脾の統血作用の低下か血の流れが加速してしまった血熱になります。

 

経遅は、月経血を十分に溜められない状態になり、血の不足、寒えによって血の流れが停滞した状態、肝の指令が遅くなってしまっている状態のどれかになります。

 

経乱は女子胞の機能が十分ではないか、肝の指令がダメになってしまっているのがあります。

  • 経早:統血の低下、血熱
  • 経遅:血虚、肝うつ、寒
  • 経乱:腎虚、肝うつ

 

4.月経周期と気血

 月経周期の前では、女子胞に十分に血を送ることが大切になるので、血の生成を強くすることが大切になります。月経前には、精神的に不安定になることもあるので、心の機能に注意をしながら、肝の働きを促進します。

 

 月経前に生理痛(脹るような痛み)があり、月経後に軽減するようであれば、肝うつが考えられるので、肝を中心に治療を加えます。

 

 月経中に生理痛(下腹部がキューとする痛み)がある場合は、血の不足があり、身体から血を絞り出そうとしているので、血を補うことが必要になります。

 

 月経前後の症状や血の状態を考えながら治療を加えることが大切になるので、その方の月経状態の確認はしておくといいです。

 

5.月経治療

 月経治療で万能なのは、三陰交になるのではないかと思います。生理痛が始まってから円皮鍼を使うのも効果的ですが、生理痛が生じる前から貼付すると効果が高いです。

 

 仙骨付近に痛みが生じることがありますが、痛みがある部位に円皮鍼で対応するのも効果的です。

 

 鍼灸師の方が自分で行うのであれば、三陰交にお灸をしておくと効果が出やすいと思います。もちろん、病能を把握してツボを選んだ方が効果的ですが、分からなければ、三陰交に少し刺激をしてみて、効果が出そうなら、刺激を増やしていくのがいいと思います。

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