卒業して現場に出て、自分で治療を行うようになると、今までの学習と違い、形や時間に合わすのではなく、患者さんの症状や望む結果に合わせて治療を行うので、どうやっていいのかに悩むことが多いですが、その悩みの一つとして鍼の本数があると思います。
鍼の本数を決めるのに、ツボや治療方針を決定しないといけないのですが、何本使うのが正解なのかと悩むことがあります。本数が多ければ、それだけコストと手間がかかるので治療時間、料金も変わってきます。
学校で指導を受けた中だとどれぐらい使ったかは覚えていないのですが、治療の練習をしたときで1~20本ぐらいだったのではないかと思います。現場に出たら自分で考える必要があるのですが、いろいろな話を聞きにいくと、鍼の本数は人によってバラバラだというのが分かりました。
鍼は1本しか使わないという人もいますし、1000本近く使うという人もいます。1本の鍼でもツボは1つという人から、1本の鍼を全身に触れるというのであれば、鍼は1本でもツボは300ぐらいになっている場合もあると思います。もちろん、治療の考え方などがあって行っているので、単純に300のツボとしてしまうのが正しいとは思いませんが、結果的な数字で言えば300とも言えます。
個人的な感想としては、10~20本ぐらいを使う方が多いのかと思うのですが、100本以上使うという人もいます。
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書籍を出したりはしていない人でも、痛みがある場所に鍼を10~20使う人もいるのは事実なので、自分と患者さんに合った鍼数を考えるのは必要なのではないかと思います。
少ないのは何が効いたか効いていないのかが分かるという意味では重要なことですし、結果を出すために、とにかく全てやった結果、鍼数が多くなったのも重要なことでもあると思います。
鍼数が多くても、瞑眩になることもあるし、鍼数が多くても瞑眩にならないこともあります。もちろん、鍼数が多ければ、瞑眩になる可能性があがると思います。
私自身は、鍼や灸の響きにも敏感な方なのですが、自分に実験してみたのは、鍼1本~120本です。120本は正確ではないですが、100本は優に越えていたので、120本にしてみました。
どちらがいいのかは分かりませんが、どちらでも効果は実感しました。症状がすごく重いという訳ではないので、患者さんが体感するのと違いますが、私の体感を書いてみます。
- 鍼1本(または少数鍼)
痛みなどは劇的な改善を体感することがありますが、全身状態の改善で考えると、何となくマイルドに代わっていく感じがあり、大きな変調を感じなくても変化していくのが分かりました。
- 少数鍼(10~30本程度)
痛みの改善もあるのですが、やられた感はしっかりとあります。その後、眠気が来たり、だるさが生じたりしますが、身体の改善と治療効果の持続や変化が分かりやすかったです。
- 多数鍼(100本前後)
痛みの改善はみられるのですが、浅い鍼だと一瞬はすっきり感がすごく強く出ました。深く刺入して響きを加えたものだとだるさが非常に強かったです。浅い鍼でも時間とともにダルさが強くなり、1~3日は何となくだるさがある感じがありましたが、その後の爽快感は強かったです。
- 感想
刺激の強度や治療者の力量によっても大きく変わってくる可能性がありますが、個人的には結果が出ればどれでもいいと感じました。自分が患者であるならば、一つに行ってみて改善しなければ、他にも行ってみるのではないかと思います。
私自身は自分の力量・時間・コストなどを考えて治療で使うのは、10~30本ぐらいの範囲が多いです。