東洋医学の感情調節

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 人間は生きている状態では感情があるのが当然なのですが、東洋医学では感情がどのように出てきて調節されているのかを考えるのに、心・心包・肝の働きが大切になります。

 人が生きている状態は精神があるということなので、この状態を作るのが心になります。心は生の本とも言われ、精神との関係が深い臓になります。覚醒した状態は心の働きと大きく関係しやすく、寝ているときの精神も心と関係するので、不眠が生じた場合は、心に問題が生じた場合が多くあります。

 

 感情はどこから出てくるのかと言えば、心包が喜楽を生じるということで、心で生きている状態を作った上で、感情が出てくると考えられています。感情の起伏が少ない場合は、心包の働きが低下していると考えることもできるし、感情が落ち着いているということは、心・心包が落ち着いていると考えることが出来ます。

 

 日常生活では感情をそのまま表に出せないことも多いですが、これは肝によってコントロールされています。よくストレスがあると肝の働きの低下が生じると言われるのは、ストレスがあるということは感情をそのまま表に出すことができないので、肝が強く働かなければいけないので、肝に負担が生じます。

 

 人から嫌なことを言われても、無表情で過ごさなければいけないときがあると思いますが、これは心包で生じた感情を肝で抑えている状態になります。

 

 肝が抑えることによって、肝の働きが障害されてしまうと、肝と関係する目・筋への異常が生じることがあります。怒りのあまり、蕉点が合わないやワナワナと身体が震えるというのが、目・筋の問題となります。

 

 映画・漫画・テレビなどで怒っている状態を身体に現すときに、ブルブルと震えているようにしますが、これは東洋医学では肝の問題と考えます。

 

 現代医学的には、怒りによって交感神経部が緊張します。交感神経は「闘争と迷走の神経」とも言われ、交感神経が緊張すると、身体が戦おうとするので、目はよく見るために、瞳孔が散大し、血圧はあがり血流が増え、酸素を取り込むために気管支が弛緩し、消化器系の働きが低下し、筋の興奮が高まりやすくなるので、ふるえという反応が起こると考えられます。

 

 肝は柔軟でストレスを受け止める働きがあるのですが、ストレスが続くと、肝の柔軟性が硬くなってしまい、感情調節が上手くいかなくなってしまいます。ストレスをうまく軽減することによって肝の働きは高まり、感情調節がうまくいくので、ストレスコントロールは大切になります。

 

 精神的に疲れが出てくるようであれば、心・心包・肝を調節しておくのが大切です。

 

 歳をとると涙もろくなるのは、歳によって肝の働きが低下するので、感情調節が上手くいかないので涙もろくなると考えられます。

 

 というのが東洋医学的に考えられるのですが、自分が年を取ってみた実感としては、いろいろな経験や話しを聞いているので、理解・共感しやすくなったからだと思いますね。

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