婦人科疾患ならこのツボ

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 治療の現場では肩こり・腰痛がひどい女性は生理痛がひどいことが多く、婦人科を意識することが多いですが、これは問診で生理痛はどうかと尋ねておくことが大切です。婦人科に対して治療をすると全身が変化をして肩こり・腰痛なども改善することがあるので、婦人科の治療は絶えず考えておくといいと思います。

 

 婦人科疾患ということでよく言われるのは、三陰交になりますし、実際によく使われていますが、鍼灸師が治療をするのであれば、その他の部位にする方がいいのではないかと思っています。

 三陰交は患者さん自身でセルフマッサージをしたり、お灸したりと出来る部位になるので、三陰交はよっぽど必要であれば治療でも使いますが、それ以外のところの方が取穴もしづらいので、治療しているときは他からのアプローチを考えることが多いです。

 

 女性は月経のところでも説明をしましたが、月経は肝の疏泄によってコントロールされているので、女性の治療においては肝も治療で考えることが必要になります。ただ、虚証タイプの人に太衝を使った場合、ひびきが強く出てしまえば、悪化することもあるので、肝経を使う場合は、最初はこわければ切皮置鍼を行って、時間を見かたにすると効果が出やすくなると思います。

 

 他に婦人科疾患に効果的なのは、衝脈と関係する公孫を使うのもいいと思います。衝脈は女子胞と関係があり、月経・妊娠含めて効果が高い部位ですし、セルフで行うのにも少し場所を覚えづらいので、ここは治療の中でもよく用いることがあります。

 

 局所ということを考えると、下腹部・腰仙部は効果的なのですが、男性治療者が使うのには、下着がある部位は触れづらいので、臍近辺、腰部などが用いられやすいと言えます。

 

 次髎は、仙骨孔と言われて、仙骨孔の中に刺すのがいいという話もあるのですが、鍼は柔らかいので、仙骨孔の中に本当に入れるのであれば、かなり太い鍼じゃないと入らないと思います。

 

 仙骨孔に入れたとしても、ひびきが電撃様できついと思うので、入れる必要はないと思っています。

 

 次髎だけではなく、仙骨部にある八髎穴(左右の上髎~下髎)は生殖器疾患に効果的なので使える状況であれば、仙骨部に灸頭鍼はいいと思います。灸頭鍼で注意をしないといけないのは、艾灸の落下になるので、お灸の管理はしっかりとする必要があります。

 

 刺入する深さは1~2cmで、灸頭鍼をリズミカルに3壮程度行うと、下腹部が温まるという感覚が出ることも多いので、私自身は患者さんの感覚も指標にしながら壮数を決定しています。

 

 灸頭鍼は技術的に難しいのであれば、仙骨部に刺激を加えるのが効果的なので、上髎~中髎を結んで鍼通電療法も効果的だと思います。私自身は、強度などは患者さんが心地よいというので行いますが、10分程度行っていくと、灸頭鍼と同じように下腹部が温まる感じが出ることも多いので、10~15分で終わりにすることが多いです。

 

 下腹部であれば関元もいいのですが、男性からすると治療で使いづらいので、気海で代用することも多いです。気海は気の海と書かれているので、気に対する働きかけが強いと考えることができますし、下腹部にあるので、下焦の働きを強めるといえます。

 

 私自身は、婦人科疾患ということで、これらの治療を月経異常、生理痛、婦人科疾患、妊婦にも使っています。もちろん、患者さんの状況によっては使えないこともあるので、導入するときは、少しずつ刺激を入れてみて、様子を見ながら行うことが大切になります。

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