治療をしていると「サプリメントは摂取した方がいいのですか?」という質問をされることが多くありますが、摂取はした方がいいのかしない方がいいのかで悩むことが多いと思います。
1.食品摂取量から考えるサプリメント
サプリメントは栄養補助食品と言われるので、本来の使い方としては食品で取れない栄養素を補充するためのものとしていますが、本当にその量が必要なのでしょうか?
厚生労働省からは「日本人の食事摂取基準」というのが出ていますが、ここで言われているのは目標ですが、毎日、このような完璧な摂取基準で取ろうとすると、本当に考え抜いて料理をしないと摂取することはできないです。
出来ないということから不足はサプリメントで補うという考えは確かに理解できますが、人類が今まで生きてきて、完璧な摂取基準で食べている生活は送ったことはないですし、それでも生存しているので、摂取基準をどこまで目指す必要があるのかと考えてしまいます。
2.寿命から考えるサプリメント
より健康的な生活を目指すという考えをする場合は、サプリメントを摂取して、本当に健康的になるのかというのも疑問ではあります。例えば、健康で長生きというのであれば、
平均寿命(0歳が何歳で亡くなるか)を伸ばすより健康寿命(健康な状態)を伸ばすという考え方になるのでしょうが、この差は男女で違いがありますが9~12歳と考えることができるので、この時期は介護が必要になると考えられます。
介護が必要な時期が9~12年って長いですよね。けど、よくよく考えてみると、子どもが生まれて一人で何かが出来るようになるまでに、これぐらいの時間がかかりますよね。子どもの成長はだんだんと出来るようになりますが、高齢になると、子どものときと逆になっていきます。
何かを食べたからと言って、離乳食の時期から大人なみの食事が出来ないのと同じように、何かを食べたからといって老いを変えることは難しいですよね。
日本が長寿国になれたのは、感染症予防、小児医療の発達、栄養状態の改善と言われています。人が多くなくなってしまえば、平均寿命は短くなるので、感染症が予防できて死亡が減らせれば平均寿命は伸びます。
小児が亡くなってしまうと、平均を下げてしまうのですが、日本の場合は、乳児死亡率が2013年のWHOの統計では1000人中2人で新生児死亡率が1000人中1人で合わせると3人です。アンゴラでは新生児死亡率が47、乳児死亡率が107になるので、アンゴラでは1000人生まれても1歳までで152人が亡くなります。その後も感染症などでなくなるので、平均寿命は約52歳です。
栄養状態の改善ということでは、人が生きていくためには最低限の栄養が必要になるのですが、日本を含む先進国は食べ過ぎが問題になっているので、栄養が行きわたっていると言えますし、サプリメントで寿命が伸びる訳ではないと言えます。
3.サプリメントの懸念材料
栄養状態を完璧な状態にするのは難しいし、それが達成できていない状態の方が普通ですが、それでも身体は何とかやっている状態ですが、もし、サプリメントで補うようになれば、健康的にはなるのでしょうが、今度は足らないと問題がある身体になることがあるのではないかと思います。
例えば、車で移動することが慣れたら、歩く力が下がってしまいますし、収入が30万の人が100万をもらえるようになったら、30万の時のような生活に戻れなくなってしまうことも多いですが、こういった、状況に適応してしまうということが、サプリメントにもあり得るのではないかと思います。
もちろん、不足した状況が続けば、それに身体は合わせていくとは思うので、考えすぎかもしれませんが気になっています。
サプリメントの歴史は食品補助食品と考えれば歴史は古いでしょうが、現在のようなビタミンなどものであれば、発見・生成する機械技術の発達も必要なので、1900年初頭から使われ、商品開発・普及してきていますが、人体に取っては有害・無害どちらなのでしょうか?
例えば、妊婦がビタミンAを過剰に摂取すると脂溶性ビタミンなので身体から排出されづらいので、先天奇形のリスクが高まるとされていますし、問題が生じたものはわかっています。
無害ということは効果としては非常に弱いので、積極的なサプリメントの摂取は行わなくてもいいのではないかと考えることが出来ます。
サプリメントの摂取であと一つよく言わるのが、原材料についての話しがありますが、普通に考えて「レモン100個分のビタミンC」というのもありますが、例えばレモン1個を100円としたら10,000円分のレモン使用?
そんな訳はないですよね。何から合成したものが使用されているというので、自然食品ではないから危険だという話しも多く聞きます。それでは自然栽培がいいかと言えば、以前にも書きましたが、地球環境ということで考えたら、終わりもないので、どこまでこだわるのかが難しいところになります。
サプリメントで摂取をするのは、単一成分のことが多いのですが、自然界に存在しているものは単一成分では存在していないので、不安定なものを体内に入れてしまえば、危険性も高まるのではないかと思います。分子として安定はしているのですが、一つの結晶であると考えると不自然なものにもなるので、それが生体として必要なのかと疑問に思います。
東洋医学の考えでは漢方は自然の食材を複数組み合わせて成り立っているので、一つの食事のようになっていますし、単一で摂取することがあっても、それは食材なので安定していると考えることができるのでサプリメントに疑問を持ちやすいのかもしれないですね。
サプリメントで強い作用があるということは、薬と同じように生体に無理をさせるものになるので、継続服用は危険があると考えることも出来ます。けど、サプリメントを取ると、劇的によくなりますよというセールストークはよく聞きますね。
4.サプリメントってどうよ?
これだけ否定する話を羅列していますが、私はサプリメントをたまに飲みます。
理由としては、サプリメントは調べても分からないことが多く、分からない物は手を出さないのが正解ですが、ちょっと体調が落ち気味だなというときに使うときがあります。
おまじないや祈祷でもいいのでしょうが、現実的な考えをすることが多いので、そこにお金を使うなら物質に使うというところですかね。
完璧な食生活やリズムが出来ないので、それを補うという意味で用いていますし、服用するときは、栄養素が十分に行きわたらないといけないので、数週間から数か月は服用します。
大きな変化が出るようだったらもちろん、嬉しいのですが、大きな作用がでれば副作用もありえるので、やめるようにしています。
東洋医学の漢方も初めから整っていた訳ではないですし、200年後から見れば、滑稽なことをしているのかもしれませんが、それは現代に生きているので仕方ないのではないかとも思います。
患者さんからサプリメントを聞かれたら、安すぎるのは問題がありそうだけど、ほどほどの値段であればいいし、効果が強すぎるのは副作用が生じる可能性もあるので、やめた方がいいとも言いますが、どうしても必要な状況であれば勧めます。
注意点としては、先程の妊婦にビタミンAがよくないというのというのはサプリメントであるので、その場で調べて伝えるようにしています。