心の働き

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 東洋医学では臓腑は機能として捉えて、生理的な活動についての話は臓象と言われます。臓象の根底には五行の性質があるのですが、今回は心の働きについて書いていきます。

 心は五行では火に属し、火は炎上の性質があるので、心は昇りやすい性質があります。これは働きとしては陽気を主る(つかさどる)と言われていますが、身体の生命力と大きく関係をしていきます。

 

 身体の生命力を考えるときには、生きている状態は熱、死んでいる状態は寒になるので、熱が強いということは生命力が旺盛であるということができます。生命力と大きく関係するので、臓腑の統括という役割も加えられています。

 

 肝と同じように心も生理機能は陰陽で分類することができ、機能と構造でも分類することができます。心の生理機能は主血(しゅけつ:血脈とも言われる)と神志があります。

  • 陽:神志:機能
  • 陰:主血:物質

 

 神志は心の働きという目に見えない機能なので陽と分類することができ、主血は構造としてみたときに、心には血が沢山集まっている物質なので陰と分類することができます。

 

 心は火に属するので、体内や体外で火(熱)があると、心に影響しやすくなってしまいます。例えば、真夏の暑い日に心穏やかにいれるかと言えば、暑くてボーとしてしまい、意識が遠のきそうになりませんか?

 

 これは、外からの熱が心に影響してしまい、心の神志の働きが低下してしまうことにより、心の落ち着きを失ってしまうということになります。

 

 精神の働きは気よりも血の方が重要になり、心に血が十分存在すると、心の機能も働けるので、神志が正常に活動をします。心の病証として見られやすいのは、睡眠に関する障害になります。

 

 心が乱れてしまえば不眠が生じてしまうことがあるので、問診で睡眠の状態はどうなのかを尋ねておくのが大切になります。通常の問診で、睡眠はどうですかと尋ねると、

「睡眠不足気味でもっと寝たいですが寝ています。」

というような回答が多くあるのですが、ここで、

「途中や早く起きることや眠りに入るまで時間がかかることはないですか?」

というように具体的な質問にすると、睡眠の状態を把握しやすいです。

 

 入眠困難の状態が生じているのであれば、心の乱れが生じている可能性があり、熱が発生していることも考えられます。よく分からないけど、夜中にちょっと目が覚めることがあるということであれば血虚が生じている可能性があります。

 

 血虚は、身体の陰分(陰液)と言われるので、血虚が進行してしまうと、陰の不足である陰虚が生じ、陰虚になると身体を冷やす働きの陰が減るということなので、陽気が相対的に強くなってしまい、身体が熱になってしまいます。そうなると、熱は心に影響をしやすいので、睡眠の障害がなかなか改善しなくなってしまいます。

 

 心は胸の中にあるので、心の病は胸痛や胸悶(胸の違和感)として現れることがあります。国家試験だと、心は胸痛、不眠で覚えておくことが多いのではないかと思います。

 

 私自身も国家試験のときに、心の病は胸痛、不眠と覚えていましたよ。

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