東洋医学では身体の中にある臓腑が機能的に連携をして成り立っていると考えているのですが、その働きを説明するのに、国のようなものだという説明があります。
- 心:君主
- 心包:臣使
- 肺:相傅
- 肝:将軍
- 胆:中正
- 腎:作強
- 脾胃:倉廩
- 小腸:受盛
- 大腸:伝道
- 膀胱:州都
- 三焦:決瀆
国は人が集まって成り立つのですが、リーダーがいないと物事の決定が遅れてしまうので、リーダーを古代で考えると、君主・皇帝と考えられ、これは心であると定義をしています。君主が亡くなってしまうと、競争力や決定が遅くなってしまうので、他国から滅ぼされてしまうので、国を守る上で重要だと考えています。
君主がいても、一人では物事を処理できないので、側に使える人が必要であり、これは心包が行うと考えています。社長などの役職者が自分でスケジュール管理、電話、資料作成、連絡を行っていたらどうやっても時間が足りなくなるので、君主のサポートという意味があります。
国を運営していくためには君主だけいれば済むものではなく、政治という組織が必要になるので、この管理を行うのが相傅と言われます。現在の日本で言えば、政治家・官僚と言ってもいいと思います。
この世界の中で単一の国という状態はなかったので、他の国との調整や連絡が必要になるのですが、この外部との調整を図るのが将軍とされます。将軍だと戦争ということになってしまいますが、外交官という意味合いがあると思います。
人々が集まると、問題が生じてしまうので、何が公正かを判断するのが中正と言われ、現在で言えば、裁判官・弁護士がこの役割を果たすと思います。人々の調整役と考えてもいいのですが、相傅とは違い、何がよいか悪いかを判断するという意味が含まれます。
人が生きていくためには、インフラ(インフラストラクチャー)が必要になります。例えば、道路、橋、家、水道、電気などがインフラと呼ばれるので、人々が生活するために必要なものを製作するという意味があり、道具を製作する意味も含まれるのが作強です。
人が生きていくために必要なものは食糧があります。食糧がなくなれば他の国に逃げてしまうので、食糧の生産と再配分は重要な役割があります。この働きは倉廩、受盛、伝道という役割があり、食糧の全体管理は倉廩、再配分するために、一時輸送が受盛、各個への配達が伝道と考えることができます。
人が生きて行くためには、他にも重要なものが水の管理になります。食糧を生産するために、川の流れを変えてしまえば、その下流で生活をしている人たちの生活が成り立たなくなってしまうので、水の管理は州都が行い、水の流れの管理は決瀆とされます。
水の大本の管理は州都でいいのですが、水が流れる通路が壊れてしまったら、せっかくの水が届かないですよね。
こういった働きをもとに言われるのが、以下のものです。
- 心:君主→神明
- 心包:臣使→喜楽
- 肺:相傅→治節
- 肝:将軍→謀慮
- 胆:中正→決断
- 腎:作強→技巧
- 脾胃:倉廩→五味
- 小腸:受盛→化物
- 大腸:伝道→化物変化
- 膀胱:州都
- 三焦:決瀆→水道
君主がいれば国が存在出来るということで生命があると考えられるので、神が存在し、神だけではなく、側にいる人が出来れば業務が運行できるので、人に対応させれば感情が生じます。
政治は人の生活の隅々が上手く運行できるように調整するようなものなので、調整されているという意味になります。国としてどのように動いていくのかを考え実行するのが将軍の役目なので謀慮と呼ばれます。
こういった物事の判断は中正という客観的な判断によって成り立ちます。職人は年数を経過すれば技術になるので、技巧と呼ばれます。
食事があれば様々なものがあり、これを五味があるとし、それらを輸送・調理を行うので、化物という表現があります。
水の調整を行えば水道が出来るので、決瀆によって水道が出来上がります。身体の機能と国というのをよく考えて名前をつけたものだと感心します。