脾は気血の生成、後天の精の生成を行うところで、治療においては重要視されているところです。脾の働きも五行の性質が関係しています。
脾は五行では土に属し、土は稼穡の性質があると考えられています。稼穡は種をまいて収穫をするという意味があるので、気血の生成と大きく関与すると言えます。
他の臓と同じように脾の働きを陰陽で考えてみると、昇清作用は上へ上らせる働きがあるので、陽の機能と言え、統血作用は出血をさせないようにしているので陰の機能と言えます。
気血の生成、後天の精の生成に関しては運化になるのですが、運化は「運ぶ」「化生」という二つの意味が込められているので、陰陽がともにあると言えます。運ぶという機能は動きを現すので陽と言え、化生は物が出来上がるので陰とも言えます。
運化は、気血津液精の生成を行うのですが、できあがったものを運ぶのも運化の働きなので、肺へ水の輸送、心へ血の輸送を行うと考えられています。化生するというのは消化・吸収と関係をするので、食の問題は脾と大きく関係をします。
運化が低下をすれば、食欲不振、消化不良、お腹がゴロゴロなりやすくなります。
昇清作用は栄養を顔面に送る働きがあり、意識を鮮明にするのにも関わります。食事によって運化の働きが機能をすると、昇清の働きが低下をするので、食後に眠たくなるのは、昇清作用の低下です。
いくらでも眠れるとか、眠たがりというのは、脾の昇清作用の低下が考えられるので、脾が弱い体質かもしれないと考えられます。
脾の昇清作用は栄養を送るだけではなく、濁気を降ろす働きがあるとしています。血液の循環と同じような考え方で、動脈で栄養を運んだ後、反転した流れを静脈と呼び、不要物を回収する働きと同じになります。
昇清作用が弱くなると、栄養を与える働きが低下するだけではなく、頭部に濁気が阻滞するので、頭がぼーとしたりすることが多いです。昇清作用は、臓腑の位置調節にも関与をします。
位置調節と言われてもイメージしにくいですが、物は重力によって低下するのが当たり前なのに、内臓は落ちずに支えられているのは昇清作用の働きによります。昇清作用が低下をすると、脱肛や子宮脱になってしまうことがあります。
統血作用は血が体外に漏れ出さないようにしている働きがあるので、内出血しやすい人は統血作用が弱い可能性があり、脾の働きが弱い体質の可能性があります。
統血作用の低下は、出血に関係するので、疲れて鼻血が出てしまったときは、労倦により、脾の働きが低下し、統血作用失調により出血したと言えます。
他にも月経時以外に出血をしてしまう、不正性器出血も脾の統血作用の低下なので、不正性器出血があったけど、婦人科に異常がなかった場合は、脾が弱まっている可能性があります。
脾の働きを損傷しやすいのは、悩み過ぎ、動きすぎ、飲食の不摂生や摂取不足が考えられます。運動を良くしている人で、血尿が出てしまった場合は、脾の統血作用が低下したと考えられますね。