鍼灸学校で杉山和一という方の話しを聞きますが、この杉山和一が設立したのが杉山流と言われます。江戸時代に設立したものなので、そのままが伝わっている訳ではないですが、書籍が残っています。
学校では管鍼法の創設と聞かされましたが、広く普及をさせた人物と言われています。その当時の視覚障害の団体でトップ(検校:けんぎょう)を務めたので、杉山検校とも言われています。
第5代将軍の徳川綱吉の治療をしたことから、将軍から「欲しい物は何か」と言われ、「一つでよいから目が欲しい」と答え、褒美として「本所一つ目」をもらった話しはドラマみたいですよね。
鍼の普及のために、鍼術講習所である「杉山流鍼治導引稽古所」を設立し、視覚障害者の鍼灸・あん摩の教育を行ったので、盲学校を設立したとも言えるし、現在の視覚障害者が鍼灸・あん摩の視覚取得を出来る基礎を作ったとも言えます。
杉山流には杉山流三部書が有名で『療治の大概』 『選鍼三要集』 『医学節用集』があります。『療治の大概』は『鍼灸大和文』を元に作られたと考えられ、『選鍼三要集』は杉山和一の自著として作られたと考えられています。この2書がテキストで使用され、残る1冊は生前の講義録を編集したものとされています。
「『杉山流三部書』の成立経過について」日本医史学雑誌 第 55 巻第 2 号(2009)
杉山流は鍼だけではなく、按摩についても指導をしていたので、杉山流按摩と言われます。按摩だと吉田流が有名ですが、杉山流もあったようです。私自身はあん摩の歴史や内容には詳しくないので、詳細は分かりません。
杉山流は勉強をして認められた人に『杉山真伝流』を伝えられたとされており、その内容は非常に細かく書かれています。『杉山真伝流』はなかなか見る機会がない書籍ですが、鍼の使い方、押手の使い方、管の使い方と沢山の内容が載せられています。
もし、原文を見たら、古典書籍を読むのに慣れていなければ、速攻で眠気がくると思います。ただ、図が非常に多いので、いろいろなやり方があるのだなという参考になると思います。
「一元流鍼灸術」の伴尚志先生のホームページから真伝流を見ることが出来ます。
杉山真伝流では鍼の使い方が多いのが特徴になりますが、多すぎて覚えるのも使いこなすのは大変だと思います。ただ、考えた末にツボを決定して、治療をしても効果が出ないことがありますが、そういったときに、鍼や鍼管で刺激を加えたら改善することもあるので、全てを覚えるのは無理でもそういったやり方があるのかというのは知っておくといいと思います。
書籍とDVDがあり、書籍は読むのに適していますが、実際のやり方というところでは見た方がイメージをしやすいので、DVDの方がイメージをつかむのには適していると思います。
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