症状別の治療の仕方

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 学校から臨床に出たばかりのときは、教科書的な患者さんがほとんどいないので、どうやって治療をするか悩むことが多いですが、治療を組み立てるのは非常に簡単です。

 人間の病気を現代学的に考えると多く分類をされてしまいますが、東洋医学では最終的には五臓の働きに分けて考えるので、ほとんどの病気を5パターンで捉えることができます。

  • 肝:眼科、筋疾患
  • 心:精神、循環器
  • 脾:消化器、
  • 肺:呼吸器
  • 腎:泌尿生殖器、骨疾患

 

 これは五行と臓の生理・病理から分類できることなので、眼科疾患と言われたら、肝の治療を行うと考えていけば、治療のきっかけをつかむことができます。当たり前のことと捉えられることもあるのですが、私もついつい忘れてしまうことですね。

 

 目の前の症状などに捉われて忘れてしまうことがあるので、注意をするようにしています。後輩でも改善が見られないからと相談を受けることがありますが、一度、基本に戻って治療するということでこの内容を話すことがあります。

 

 例えば、足がつりやすいということは筋の病証と考えられるので、治療の主体を肝でやってみようと考えることができます。

 

 いつも肩こりで来ていた方が、今日は風邪をひいて咳が止まらないのであれば、呼吸器の症状が出ているので、肺を使って治療を行うことができます。こうやって、少しずつ東洋医学の臓を使った治療を行っていくと患者さんとの信頼関係の構築にもつながりますし、自分の中でも理解が進んでいきます。

 

 私も昔から東洋医学を使いこなして、ツボを細かく選択して治療出来ていたわけではないですし、少しずつステップアップをしています。最初の段階では肩こり・腰痛の治療が多かったですが、そこから身体に関しての知識、技術が向上していくことによって治療スタイルの構築につながると思います。

 

 古い先生方の書籍を読んでいたりすると、治療は意外にシンプルだったりしますしね。もちろん、細かく病能を鑑別して、治療自体も難しいものもありますが、それだけが鍼灸治療ではないので、自分なりのやり方をつかんでいくことが大切だと思います。

 

 鍼灸の受診率が低いという話がありますが、一人一人の鍼灸師が治療の中で、信頼関係を構築しながら、鍼灸治療を行っていくことが地道ではありますが、受診率の向上にもつながっていくので、多くの方にやってもらいたいと思います。

 

 現代医学で対応しなくても出来ることは鍼灸治療で行えるようになり、それが広がってくれば、増大する医療費の抑制にもつながり、治療を受けた方も楽な生活を送れるようになるのでいいことではないかと思っています。

 

 今回、当たり前のようなことを書いていますが、後輩などから質問を受けたときの回答は難しいことよりも、こういった基礎を伝えて実行していってもらうのが大切ではないかと考えたからです。

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