冷え症になるのはなぜかー気の病証と陽虚

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 冷え症になると、手足が冷えて元気もなくなるし、何もしたくなくなるので辛いですね。東洋医学では気の問題が生じた場合に冷え症と考えられる陽虚になってしまうことがあります。

 気には温煦の働きがあり、身体を温める力がありますが、気の問題が生じてしまうと、温煦の働きが低下して冷え症が生じてしまいます。気には衛気が身体を温め、外邪でもある寒邪(環境の寒さ)から身体を守る働きがありますが、気の問題が生じてしまうと、衛気の働きが低下をしてしまい、冷え症になってしまいます。

 

 気の病証としては、虚証と実証で分けられることがあるのですが、どちらも気の運行障害が生じるので、冷え症が生じることがあります。気の虚証には、気虚、気陥、気脱があり、気の実証には気滞があります。

 

 栄養摂取不足や身体を使いすぎてしまったときに活動力も低下するので、気の虚証が現れます。気陥は気虚が進行し、特に脾の昇清作用が低下してしまったときに生じるものになります。脾の昇清は内臓の位置調節に関与するので、内臓下垂、胃下垂、脱肛などが当てはまります。

 

 気脱は気虚が進行してしまったもので、イメージとして倒れる寸前になります。顔面蒼白になり、大粒の汗を流し、息切れが強くなってしまったような状態です。

 

 気滞は気の運行が滞ってしまったもので、気自体は十分にあるのですが、運行障害があり、ある部位に気が停滞していると考えます。特に、停滞しやすいのが、胸脇部や腹部に停滞しやすいので、胸脇苦満や慢性的な腹部膨満感が生じます。

 

 冷え症と考えると、基本的には気虚からと考えることが大切なのですが、気滞によっても冷え症の状態があるので、気の虚実を判定することが大切になります。

 

 気の運行が停滞してしまい、身体の中心で気が停滞すると、四肢へ気が巡ることができないので、四肢の冷えが生じます。漢方薬だと、四逆散が冷え症にも使えるとありますが、これは、気の阻滞による冷え症と考えられます。

 

 気には他にも種類があり、先天の精は原気に変わるので、原気が不足してしまった状態でも冷え症が生じることがあります。寒い地域でもないのに、小さい子どもでも、手足が冷えやすく、しもやけになることもあるようですが、これは先天の精の不足と考えることが出来ます。

 

 後天の精を充実させ、精の充実から原気を生成しなければいけないので、脾胃を補っていくことが必要になると思います。若い人の冷え症は、気滞か原気の不足が考えられると思います。

 

 年を取ってから生じるのは、気虚からの進行と考えることが出来るのですが、若いうちから冷え症があると、年とともに気血が不足しやすいので、壮年、老年になってからが大変なので、早めの体質改善を図ることが必要だと思います。

 

 女性は月経もあり、血の生成も行わないといけないので、気の方がやや低下しやすいので、冷え症が多いのではないかと思います。ただ、気を補っても、今度は血の不足や気滞になってしまうことがあるので、脾・腎の働きを確認しておくのが大切だと思います。

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