中医学の書籍を読んでいるときにたまにみかけるものに衛陽という表現がありますが、何のことを言っているのでしょうか?
衛陽は衛気と考えることが出来るものになります。衛陽の衛は衛気の衛なので、そのまま衛気と考えていくことができます。では、衛陽の陽は何なんだ?ということになりませんか?
衛陽の陽は、衛気は陰陽で分類すれば、陽に属するものなので、衛気のことと考えることが出来ます。つまり、「衛気衛気の閉塞」とすることができます。
他には、陽は身体で考えれば体表になるので、「衛気体表の閉塞」と考えることもできます。私としては、「衛気体表の閉塞」と考える方が分かりやすいのではないかと思っています。
衛陽の閉塞は、外邪が身体の影響を与えたときに生じたものであり、外感病因のときに発生するものになります。外邪が身体に影響を及ぼそうとすると、衛気と体表のバリア機能である皮毛が外邪に抵抗をしていきます。
敵が攻めてきたから、門を閉じると考えてもらうとイメージがしやすいのではないかと思いますが、身体の門がどこか?というのが今度は必要になります。
体表にある門は、発汗を行う腠理があるので、外邪が攻めてきたときには、身体に入らないために衛陽(表面)を閉じるということで、腠理を閉じてしまいます。
腠理を閉じると、汗が出ない無汗が発生をしていきます。無汗になるということは体内で発生した熱を体外に排出することが出来ないので、身体の中に熱が停滞をしやすい状態になります。
この病能が発熱と言われるもので、衛陽の閉塞、無汗、発熱はつながりやすいものになるので、外感病・外邪による病のときに度々出てくる名前になります。
衛陽の閉塞がいつ治まるかといえば、外邪が影響を与えなくなったときや、身体の体調が戻ったときになるので、発汗があれば症状が変化したと考えることができます。
風邪をひいたときに、最初は汗も出なくて、身体がだるくなり、発熱して、ゆっくり寝ていると発汗をしてきて、すっきり治ったというのは経験をした人も多いと思いますが、これは衛陽の閉塞と開門が影響していると言えます。
外邪が攻めてきたときに、衛陽が閉塞できないと、門から外邪が進行して症状が増悪してしまうことがありますが、これは衛陽を閉塞する力がないということで、気虚がある状態と考えることが出来ます。
気虚があり、衛気が不足をしていると腠理の開閉が上手くできないので、閉じることが出来ずにじわりじわりと汗をかく自汗があるので、衛気の問題は自汗で考えることが出来ます。
よく言われるような風邪の引きはじめは葛根湯と言われますが、自汗がある場合は、衛陽を閉塞できていない気虚の状態になるので、外邪だけではなく、身体に対しても治療を加えないといけないので、桂枝湯を用いると言われます。