同病異治と異病同治

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東洋医学の治療では同病異治と異病同治が特徴であるという話しがありますが、似たような表現なのでいま一つ意味がつかみづらいですよね。

 同病異治・異病同治は確かに症状で考えて治療するのではなく、東洋医学の病態把握が必要になってくるとので、特徴とも言えるので、まとめてみたいと思います。

 

1.同病異治

 「同じ病でも異なる治療を行う」というのが同病異治になります。病態把握が必要になるので、具体的に説明をしていきます。

 

 腹痛が生じたときに、脾の問題を考えるのが一般的ですが、肝でも腹痛が生じます。この場合、腹痛という病は一緒でも治療は、脾で行う場合と肝で行う場合があります。

 

 例えば、

  • 「お腹が痛く、下痢をしやすい」→脾
  • 「お腹が痛く、慢性的にガスが貯まる」→肝

 

と考えることが出来るので、症状だけで考えるのではなく、身体全体でどうなっているのかを把握することが必要になります。

 

 脾は中焦にあり、お腹に関係をするので、お腹の症状があった場合は脾の問題だと考えることが多く、脾の昇清が低下すると、便も支えられずに落ちてしまうので、下痢が生じます。

 

 肝は気滞を生じやすく、気滞が発生してしまうと、脾の働きを障害するだけではなく、中焦の気機が阻滞してしまうので、ガスが貯まるような感じが発生することがあります。

 

 同じ腹痛でも原因が違うので治療方法が変わるのが同病異治になります。

 

2.異病同治

 「異なる病でも同じ治療を行う」というのが異病同治になります。これも同病異治と同じで病能把握が必要になります。

 

 今度は、異なる病になるので、腹痛とめまいで考えてみます。

 

例えば、

  • 「お腹が痛く、下痢をしやすい」→脾
  • 「めまいが酷く、食欲不振」→脾

 

と考えることができます。最初の例は同病異治でも説明したと思いますが、脾の働きが低下をすると、腹痛が生じやすく、脾の昇清にも影響をしてしまうので、下痢をしやすくなります。

 

 二つ目の病証は、脾の昇清の低下が考えられます。脾は昇清の働きで位置調節にも関与をしますが、最初の例は位置調節が出来なくなり、下痢になっていますが、二つ目では、位置調節は問題がないのですが、頭顔面部へ栄養を送る働きがあるので、昇清が低下したことによって、頭顔面部へ栄養が送れずにめまいが生じてしまっています。

 

 脾の働きは運化もあり、脾の働きが低下したことが運化に影響すれば、食欲がわかなくなってしまいます。

 

3.まとめ

 最初はイメージをつかむのが大変ですが、弁証や症状を覚えていくにつれて、同病異治・異病同治が分かるようになっていくので、日々の積み重ねが重要だと思います。

 

 私も卒業してすぐのときには、分かっているような分からないような感じだったのですが、だんだんと理解できるようになってきました。

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