東洋医学の診断法―四診

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 東洋医学の診断法として四診と言われるものがあります。四診は望聞問切という4つの診断法を駆使して、身体の状態を把握する方法です。

 望聞問切は、それぞれ望診、聞診、問診、切診と呼ばれ、状況によって変わることがありますが、この順序は診察の順序だとされています。

 

 例えば、治療室で患者さんの顔を見て、挨拶をして、話しをして、身体を触るというのが一般的なので、診察の順序とも言われますが、受付から少し離れているときに、「こんにちは」などと声をかけられて最初に声を聞くこともありますが、この場合は聞診、望診、問診、切診になります。

 

 患者さんによっては、治療室に入ってきて、「こんにちは」と言った後に、「今日は腰が痛くて仕方がなくて、さっき治療室に入る前に、人を避けようとしたけど、それが辛くてさ。朝、起きるときは大変だったから・・・」

 

と聞診から問診になることがあります。この場合は問診でもあるのですが、一方的に身体の状態を教えてくれることになりますが、他の患者さんの治療をしているときなどは、細かい質問は出来ないので、頭の中にストーリーを残しておくことが必要です。

 

 話すのが好きな方だったら、「さっきは何を言っていたのですか?」と話しかけるのもありなのですが、お互いの信頼関係にもよりますかね。

 

 望診は書籍で多いのは舌診という舌を診る方法なのですが、望診で大切なのは最初に身体全体を見たときに把握する神気ではないかと思います。神気は五神という身体の中にいる神のことを指すことが多いのですが、「望診で神気を見る」といった場合には、生命力と考えることができます。

 

 友人などでも、回りの人に「今日は体調が悪いの?」という一瞬の見た目で判断をしますが、この一瞬で何となく感じるものを神気と呼びます。もちろん、訓練を積んでいくことによって、細かな違いなどが分かるようになると言われていますが、最初は、顏色はどうか?目つきはどうか?というように部位ごとに確認するように見ていき、そのうち、何となく判断をするようになっていきます。

 

 望診が終わると聞診になるのですが、聞診では音・臭を中心に診ていきます。音に関しては、五行の中でも分類があるのですが、音の聞き分けは非常に難しいものなので、声の性状で判断するのが多いと思います。

 

 声が澄みきっていれば健康そうですし、痰が絡むようであれば水が停滞しているのではないかと考えることができ、ガラガラ声であれば水分(陰液)の不足が生じているのではないかと考えることが出来ます。

 

 一般の方でも電話で話していて、「風邪ひいた?」と分かるので、これは普段の意識からもう少し気を付けるだけで身に付きやすいのではないかと思います。聞診には、臭いというのがあるのですが、同じような病気・病能の方を何人も診ると分かるようになっていくのではないかと思います。

 

 残る切診は身体の状態を触って確認していくものなので、触るという経験を積むことによって診断スキルが向上していきます。最初のときに分からなかったことが経験を積むに従って触れるようになるので技術は向上しやすいし、自分でも分かりやすいのではないかと思います。

 

 自宅で練習するのであれば、例えば、重さを手で正確に測れるのかをやってみたり、いろいろな物を指先で触れて感覚の違いを味わったりしてみるのもいいと思います。動物や赤ちゃんを触れる機会は積極的に触れさせてもらうと触診感覚が向上すると思います。

 

 望聞問切は、『難経』では望診は神、聞診は聖、問診は工、切診は巧ということで、触って分かるようになるのは巧み(上手)であり、その後、研鑽を高めていくことによって問診で分かるようになる工(職人)になり、さらに研鑽を高めていくことによって聞診で分かるようになる聖(素晴らしい人)になり、見て全てが分かる神の領域に到達できるとも言われています。

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