黒子を見よう―望診の簡単な方法

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 望診は、四診の中でも説明をしましたが、見るという行為なので誰にでも出来る半面、注意をしていないと向上が難しいものでもあります。

 望診は舌診を中心として行うことが多いと書籍でも書かれているのですが、見慣れない部位なので、診察で使えるようになるのには時間がかかるとも言えます。顔色などの微妙な色の変化も普段、意識をしているものではないので、習得に時間がかかります。

 

 簡単に出来る方法としてあるのは、ほくろを見るというのがあります。ほくろは誰にでも見られるものですし、色弱があったとしても見られるものなので、望診としては使いやすいものです。

 

 ほくろは先ずにどこにあるのかを確認する必要があります。大体、経絡上にあることが多く、ツボの部位とも一致することが多いので、どこに多いのかを見ておくだけでも病能を考えることができます。

 

 例えば、顔に多く、大腸経に多いのであれば、大腸の問題が生じていることがあるので、排便の状態を聞いてみようかという気持ちになりますよね。聞いたみたところ、消化器系の問題があるのであれば、ほくろからの望診は成功にもなります。

 

 大腸経にほくろが多いということは、大腸兪付近もほくろか色の悪さがあるのではないかと考えられるので、診察の中で問題を考えながら、身体を診て行くことができます。

 

 治療するツボが分からなければ、ほくろがあるところは気血の流れが悪い可能性があるので、その付近に施術をするだけでも効果がみられることがあります。もちろん、ほくろ自体には鍼灸などの刺激を加えることは厳禁です。

※ほくろは刺激をすると、増殖をしてしまうことがあるので注意が必要です

 

 ほくろの位置だけではなく、全身に多い場合は、皮毛にほくろがあるということで、肺の病証の可能性があります。皮膚の異常は皮毛の異常として考えるのは皮膚疾患と同じなので、ほくろが全身に多い、増えているという場合には、肺から治療をするといいです。

 

 私もほくろがありますが、長い期間、観察を続けてみると、ほくろが出てきたり、消失したり、薄くなったりしています。年齢・体調変化が関係をしているのだと思います。部位や内容に関してはまだまだ観察中なので、まとまってはいませんが、研究材料として変化を楽しんでいます。

 

 ほくろは、体表だけではなく、舌や唇にも生じることがありますが、この場合は、身体の中に瘀血があるということを示す所見になります。舌に生じている場合は、舌の五臓配当を覚えておくことが大切になります。

 

 唇にほくろがある場合は、消化器の異常のことがありますが、女性の場合は、女子胞の問題がある場合があるので、問診で消化器・月経については尋ねておくのが大切になります。

 

 たかが、ほくろ。されど、ほくろ。ほくろを見続けるのも楽しいですよ。

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