高血圧が主訴で治療をしたことがありますが、忘れられない症例になりました。1か月ぐらい変化がなく悩んでいたのですが、ぱったりと治まってしまいました。

　その方は、仕事が忙しく、役職にもついている方で、治療のスケジュールも「何時から何分かかりますか？」という相談も多く、治療当日になったときに「何分までに出たいのですが大丈夫ですか？」というように時間に対しての質問が多かった方です。

　治療に関しては、身体のことは専門家ではないので、全て任せますということで、自分の身体に対するこちらの見解なども尋ねずに、全てを任せて頂きました。会話も非常にハキハキとした方で、明快な受け答えで、こちらの質問も理解をしながら、こちらが欲しいだろう答えを探しながら回答している感じでした。

　大手の会社で役員の方まで昇進されている方なので、心遣いや話しの効き方は非常に参考になりました。任せるといったからには、細かいことには文句を言わずに、治療結果はこちらを信じてもらっていたので、本当に治療に専念をしていました。

　継続して治療をして1か月だったかと思いますが、高血圧は全く変化がありませんでした。治療を受けているときはリラックスもして、高血圧からくる頭痛も大分改善をするのですが、仕事に戻ると頭痛も生じてきているようでした。

　尿酸値が高いのと仕事で飲む機会が多いので、家での晩酌はしていないということでした。睡眠は、途中で起きることもなく、布団に入ってぐっすりと寝ているということで、身体の頭痛や高血圧で生活に困っていることはなかったということでした。

　治療に来る時間もきっちりとしており、仕事の合間にタクシーで来院されていました。治療中は少し寝ていたかと思ったら、目をさまし、後何分かかるかという話しをされることがあり、次の仕事へ向けて、頭を切り替えようとしているのだと思い、仕事の姿勢は参考になることが非常に多かったです。

　治療効果の改善は見られていなかったのですが、治療時間中はリラックスもでき、落ち着くことが出来たので、気持ちがいいということをよく話されていました。こちらとしては、何とか改善をしようといろいろと試していました。

　治療を続けて2か月経った頃だと思いますが、高血圧が改善したとのことで、今までの治療と治療効果で改善ではないのではないかと思い、生活や仕事のことに関して、再度、尋ねてみたところ、大きなトラブルを抱えていたのがようやく処理できたということでした。

　今までにない大きさのトラブルだったので、身体も頭も非常に疲れていたとのことで、そこから高血圧がきていたのだろうと思います。仕事の多大なストレスが高血圧をきたしているというのをよく理解できた症例でした。

　反省すべき点は、高血圧を改善できなかったという1点です。多大なストレスがかかっているときでも改善が出来るようにならなければいけないと思いました。

　自分を慰める点では、高血圧以外に大きな病気になることもなく、ストレスを軽減する時間を提供できたのではないかと思います。

　患者さんから言われたのは、後者についてで、治療のおかけで乗り切ることが出来たというお礼の言葉を頂きました。私としては、お礼もうれしかったですが、後悔が残った症例になりますね。