胸やけの毎日

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 あなたはサーターアンダーギーを何個食べられますか?何日食べ続けられますか?

私は答えられます。

「○○さんは沖縄出身なのですか?」

 

「そうなのよ、仕事で出てきてそのままだからこっちの方が長いけど。」

 

「沖縄は海と気色が奇麗でいいですよね。」

 

「本当よね。のんびりしていたし、食べ物も美味しいし。」

 

「ゴーヤチャンプルーとソーキソバは知っていますけど美味しいですよね。」

 

「そうそう、他にもたくさんあるけど、サーターアンダーギーもあるわよ。」

 

「はい??」

 

「サーターアンダーギー。揚げパンみたいな丸いやつよ。」

 

「サーターアンダーギーですか?食べたことあるかな。」

 

「あら?食べたことないのなら持ってきてあげる。最近、作っていなかったし食べたかったからちょうどいいわ。」

 

「すみません、要求してしまったみたいでありがとうございます。」

 

 何気ない会話です。普通です。極めて普通です。こういうことは治療院では患者さんとの会話のなかで生じることが多いです。頂き物は断ることも多いのですが、断れ切れないことも多々あります。

 

 最初は、美味しかったですよ。3つぐらいはパクパク食べたと思います。もう1個ぐらい食べられそうでしたが、やや胸やけが始まりましたね。この差入れは、続きます。毎日、続きます。

 

 5日目ぐらいになると不穏なムードになります。美味しいですよ。嬉しいですよ。けど、数十個を毎日です。一人当たり最低4つ。頑張りきれないので、周囲に配りますが、毎日は食べられないです。

 

 2週間目突入。最初の嬉しい気分はどこにいったのか。断らないのかと思いますか?毎日、断っていますよ。けど、押されています。こうなってくると、治療院のバックヤードにサーターアンダーギーが積み重ねられていきます。

 

 頂きものは心がこもっていて嬉しいです。美味しいものなら、なお嬉しいです。けど、食べられる限界があります。こうなってくると、その時間が少し憂鬱な反面、どこまで続くのかというデスマーチで楽しくもなります。胸やけで気持ち悪いですけど。

 

 心に暗雲が立ち込めもします。「誰だよ。欲しいと言ったのは?」

 

 みんな最初は喜んでいて、我さきに食べていたのがウソのように積まれていくサーターアンダーギー。「かぼちゃとニシンのパイ」を嫌いと言った魔女宅の女の子を思い出します。あの女の子も最初は喜んで食べていて、食べ過ぎて嫌いになってしまったのではないかという思いやる気持ちが出てきます。

 

 そんな生活もストップします。傷つけないように、丁寧にお断りを入れていました。よろこんでもらって嬉しかったのでしょうね。頂き物ってすごく難しいですし、あげるというのも考えるのが必要だと学習したサーターアンダーギーでした。

 

 もちろん、残っていたのは胸やけとともに消費しました。ということで、私は1日1~2個で2日以上続くと十分になります。毎日の朝食でというのは無理でした。

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