患者さんや友人から鍼灸で有名な先生は誰か?という質問がありますが、答えるのは非常に難しいです。
有名ということは名前が売れていると考えるのであれば、学会、流派、学校などに関わっている人が有名な部類に入りやすいのではないかと思います。テレビに出てくる人もいますが、テレビ関係の患者さんが居て、そのまま連れて行かれるというパターンもあるので、業界では無名だったのがテレビに出たことで有名になるという場合もあります。
有名な先生で全国から患者が集まっていて、腕がいいというのも難しい話しで、確かに地域で有名になり、紹介で全国から患者が集まっているところは、結構あるのですよね。
そういった人が外部の活動に関与している人であれば、有名にもなりますが、外部に出てこない人は、通っている患者さん達の中では有名でも業界や他業種から知られることがない場合が多いです。
患者さんが多く来院しているところは腕がいいとも言えるのですが、我々の仕事は対人業になるので、1時間に多くて4人。1日8時間で32人。1週間を6日とすると192人。この患者さんが数日おき、毎週、2週間おき、1か月おきで来院されるので、流行っている鍼灸院でもベースとなる患者さんの数は500人ぐらいでしょうか。
500人だと、大きな中学校・高校だと一学年に相当しますが、町や地域の人口からすれば、都市部であれば、かなりの少人数になると思います。一人の人間が500人とコンタクトを取ると考えればそれだけで凄いことにもなると思うのですが、対人業なので、これ以上となるとかなり難しくなると思います。
過程として500人としましたが、この500人は紹介によって治療室に通っているので、家族・親戚・友人というグループに分かれることが多いので、場合によっては、私の周りはみんなそこに通っているという状態になると思います。
このような方に取っては、その先生はとにかく有名で実力もあると言えるのですが、一度か数度来院して来なくなっている人も一定数いるので、本当に腕があるのかを考えることも必要かと思います。
単純に考えれば、それだけの方が来院されているので、腕があって当たり前になるのですが、鍼灸師の仕事は対人業であり、コミュニケーションスキルも重要になるので、コミュニケーションスキルが高い人だと、人との触れあいが楽しく、相手を楽しませるスキルを持っていることもあるので、その先生の性格も重要な点になると思います。
知らない人よりは知っている人で、人辺りがいい人の方が紹介をしやすいので、患者さんも集まりやすいのではないかと思います。
患者さんが多く来院されている治療院は、技術や知識があるのはもちろんなのですが、その先生の人柄がいいことも多いので、そういった先生が周りにいる場合は、積極的にコミュニケーションを取るようにするといいと思います。
患者さんから「この辺りにいい先生がいた」という話しを聞くと会ってみたかったなと思うことが多いです。一人でひっそりとやっていて、患者さんが多く来ていたけど、歳によって引退して、弟子もいなかったので、そのまま閉店したという話しはよく聞くので、もったいないという思いもあります。
そういった先生は治療が楽しくて現場に向かっていて、弟子を育てるというのは好きではないという人もいるのですが、タイミングなどが合えば、人を育てたのではないかとも思います。
育てた結果で不快な思いをしたので、もう弟子も取らずに治療院を閉じたのかもしれないのかなという思いもあり、複雑な心境になりますが、そういった先人の先生が居たというのは励みにもなります。
鍼灸の有名な先生を知りたければ、鍼灸師に尋ねてみると、業界のことも分かっているので、本当に有名かどうかの確認もしやすいですね。