鍼灸治療を受けるとだるくなるという人がいて、鍼灸師の中では瞑眩(めんげん)ということで治療によって身体がだるくなることがあるという説明をすることがあります。
鍼灸治療をうけてすっきりしたという表現をする人もいますが、だるくなるという表現をされる方もいます。身体がだるくなるということで悪くなったというマイナスイメージになってしまうことがありますが、実は身体の機能を考えると当たり前のこととも言えます。
身体に鍼灸の刺激を行ったのを現代医学的に考えてみると、皮膚や筋肉に鍼灸によって刺激をされると何が起こるかといえば、外部から侵襲されたのを治そうとすることによって身体の免疫機能が高まることになります。
身体の免疫機能が高まると言っても目に見えるものでもないし分かりづらいですが、免疫が高まるためには、身体の循環がよくならないと、免疫機能をめぐらすことができないので、血流が活発になります。
普段の生活で血流が活発になる状態を考えると、運動をしたときに該当します。運動をしたときは、最初は血流がよくないですが、段々と血流がよくなってくると、体温が上がり、全身に血液が巡るので、発赤することになります。
鍼灸治療を行った部位も発赤することがあり、血流が高まっているのが分かります。鍼灸の刺激自体はその場だけのものではなく、身体に侵襲をしているので、治療したときだけではなく、その後も継続して血流がいい状態が続きます。
運動した後を考えてもらうと、血流が活発になり、心臓もよく働いたので、身体は疲労をして、だるくなります。
鍼灸を行った後も血流が活発になるので、心拍数で大きな変動がないですが、血流がよくなったために、身体の中にある不要な代謝物の移動も起こることによって運動後と同じようにだるさが生じます。
だるさが生じた後に、しばらく睡眠を取ると、身体の状態が整うので、すっきりすることが多いです。身体の状態によっては、2日ぐらいたたないとすっきりしないということもありますが、それまでの重さがウソのように軽くなることがあります。
人によって感じやすさも違うので、だるさや軽さをあまり感じない人もいますが、起きた後の身体の重さを普段は意識していないので、治療する前から自分の身体の感覚を知っておく方が、病気の予防にもなるので、大切なことになります。
だるさが出るのは嫌だという人もいるでしょうが、身体の状態が変わるためには、しっかりと休まないといけないので、東洋医学の治療ではこういっただるさのような不快感や症状を瞑眩という表現を使っています。
治療後にお風呂に入浴した方がいいかという話しにもなるのですが、生活指導としては、血流を良くしている状態なので、シャワーぐらいにしておいた方がいいと言えます。何故かと言えば、運動を激しくしたら心臓に負担がかかっていて、さらに長湯をすれば心臓にさらに負担をかけるので治療後の入浴はしないか、しても軽めにしておく方がいいです。
食事に関しても内臓の働きが活発になって、消化や排泄に向かっている状態なので、治療直後に飲食をしてしまうと、せっかく掃除をしようとしている身体の力を新たな消化・吸収に使ってしまうので、治療後すぐに食事をするのではなく、時間を空けた方がいいし、軽めの食事にしておく方がいいと言えます。
冷たい水を身体にかければ冷たくてびっくりして固まってしまうように、内臓にも負担をかけてしまうので、昔ながらの治療室では白湯を出すところが多いですよね。
白湯の作り方はお湯をいれてから水を入れれば混ぜなくてもかってに混ざるのでお湯からが基本になります。