脳血管障害や心臓疾患で突然倒れるというのはよく聞く話しですが、口が苦く感じる口苦も危険なときがあります。
口が苦く感じるのは、現代医学で考えれば胆汁の逆流や、味覚が消失してしまったときは、甘味から感覚が鈍くなり最後に苦味の感覚が生じることがあります。膽汁が逆流するのも危険な徴候ですが、味覚がなくなるのも正常な状態ではないですよね。
口が苦く感じる口苦は東洋医学を学習するときに、肝胆、少陽病の中で聞く話しで、国家試験でも出てくるものなので、何となく知ってはいるのですが、臨床の中でそれほど出会う症状ではないと思います。
一度、口苦が感じた方と話をしたことがあるのですが、不思議な感覚だという話しを伺ったことがあります。高年齢の方ではなかったのですが、ストレスが非常に強い状態が続いて、しっかり休めなかったときに、身体の変化として感じたのが口苦だったそうです。
何となく、口が苦い感じがあり、不快というのは思っていたそうなのですが、生活をそのまま続けていて、特に問題がないと思っていたのが、動けなくなり、緊急で入院をすることになったそうです。
原因としては肝炎だったそうですが、若い人でお酒を飲まない人で肝炎になるのかということを考えたときに、なかなか考えが至らなかったので、その後に少し調べました。肝炎の原因としてアルコールと言われることが多いですが、ウイルスによるものがおおく、その他では薬剤、自己免疫性によって発症することがあります。
ストレスを受けるとノルアドレナリンが放出され、肝臓を活発に働かせることがあるので、その場合は、ストレスによって肝機能障害が発生すると考えられます。普通であればウイルスによって肝炎になるのですが、その方はストレスによって発症したみたいです。
東洋医学では、口苦というのは学習をするのですが、普段なかなかお会いしなかったので、印象に強く残っています。東洋医学では口苦は肝の働きが低下し、胆汁の生成・分泌がうまくいかなかったときに生じるので肝の病態と考えることができます。
肝はストレスと関係をしやすいので、東洋医学・現代医学的にも納得をしました。本人にとっては、大変なことだったので、東洋医学の考えも伝え、今後、口苦が見られたときには、注意をするように伝えましたが、本人も驚いた経験があるので、私の注意は必要なかったかもしれませんね。
臥薪嘗胆という言葉はご存じでしょうか?
臥薪嘗胆は、中国の春秋戦国時代の話しになるのですが、越に攻撃を受けたので、呉が復讐しおうとして攻撃をしたのですが敗けて、怪我をして王が亡くなってしまいますが、その際、息子に越を倒すようにといい残し、薪の上で寝て復讐を誓います(臥薪)。呉は越を倒すことに成功をし、越の王は奴隷のような扱いを受けます。
今度は、越が復讐をするために、胆をなめる(嘗胆)ことによって屈辱を忘れないようにし、今度は呉を倒すことに成功します。復讐を忘れないようにするために、日々の生活の中に苦しみを入れるのは尋常ではないですよね。
※胆と胆汁は我慢できないぐらい苦いと言われます
こういった経緯があるので、呉と越は中が悪いので、呉越同舟という言葉があり、憎みあい戦っていたのですが、秦によって中国が統一するときに両国とも滅亡します。目の前ばかりに気を取られていると、大切なものを見失ってしまうことがあるのではないかと思います。