てい鍼(鍉鍼)を治療で上手く使うコツ

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 治療の中で鍼灸はどう使い分けるかという内容をかきましたが、鍼の一種である刺さない鍉鍼はどうやって使っていけばいいのでしょうか?

 鍉鍼は刺激に弱い人などに使われ、使い方は鍼のように使うということで説明をされるのですが、資格を取ってから数年は「だから?」という状態でした。

 

 現場に出て、鍼が刺入しにくい人もいましたし、刺入しやすい人もいました。鍼も細いのから太いの、短いのから長いのも使っていきました。鍼の太さは特別な鍼は使っていないので、0~5番。長さも特別なものを使っていないので、5分~2寸。

 

 鍼も深くさすときもあれば、浅く刺してみるということを行って、その人に対してはどのぐらいの深さが効果的なのかを考えながら治療を続けていましたが、そのときにふと鍉鍼を使ってみました。

 

 いつも鍼を刺入しようとするところに、鍉鍼を構えて、刺入をしようとして鍉鍼の操作をしていたのですが、全体の治療が終わったときに、いつもの治療効果と同じだったのが自分の中で驚きでした。

 

 それまで鍉鍼は使ってもいなかったし、患者さんも特別に敏感という人ではなかったのですが、通常の鍼と同じような効果があるのだというのが分かりました。鍉鍼を最初に聞いたときには、「鍉鍼は鍼と同じように扱う」というのが自分の中で理解を出来たときでした。

 

 具体的に何が変わったかと言えば、当初は刺入をする力がなかったので、それまでと比較をすると刺手・押手がともに無理な力が入っていたし、押手がずれてしまうので、鍼を一定の場所に置いておけなかったのだと気付きました。

 

 それ以降、鍉鍼を使った感触と注意点を自分の中でまとめて、鍼を扱ってみたら、鍼先の感覚が以前よりも少し分かるかなという気持ちがうまれました。そこから通常の鍼も浅くても効果が出るだろうと、押手と刺手に注意をしてふらふらしないように安定させられるように考えていきました。

 

 それまで鍼をしているときは、知らないうちに押手が皮膚面を滑って、押手の圧がずれてしまうことがあったのが分かったので、基本を思い出して、押手が皮膚面でずれていかないように注意をするようになりました。

 

 鍼は直刺が基本ということで押手に関しても書きましたが、押手を意識するようになってから、直刺、斜刺、水平刺が上手くなっていくのが分かりました。それまでは鍼を刺入するということで鍼の方向と刺手の方向を気にしていたのですが、押手を気にすることによって、鍼をどの方向に切皮をしているのか、どの方向に入りやすいかを押手で考えるようにもなりました。

 

 押手が意識を出来るようになると、鍼を刺入しているときに、皮膚の緩み、筋の硬結の改善を押手で刺入しながら感じることが出来るようになってきたので、そこでもう一度、鍉鍼を使ってみたところ、鍉鍼でも変化が出ていくのを感じるようになりました。

 

 鍉鍼だと切皮痛もないし、不快感が少ないので鍼に慣れていない方などにも使うようになっていきました。鍉鍼でも鍼と同じようにひびきが出ることはあるので、使い慣れてくると便利なものになると思います。

 

 鍉鍼が扱えるようになれば、もし鍼がない状態でも先が少し尖っているものであれば、シャーペンや鉛筆などでも治療が出来るので、万が一のときでの、自分のスキルは有効活用できますしね。

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