寝違えの痛みと鍼灸治療

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 さて起きるかと思ったら、グキッと首や背中に痛みが走って、首、背中、肩が朝一から動かなくなってしまい、最悪の朝になるのが寝違えですね。朝からずっと痛いので、その日が憂鬱になってしまいますよね。

 寝違えは頚部に強い痛みが生じる場合と背中に強い痛みが生じる場合があります。寝違えを起こす人は、頻繁に生じるので、いやになってもくると思いますが、普段の生活が大きく関係をしています。

 

 寝違えがスパっと治ると漫画で紹介されていたのが、簡単に言ってしまえば、大胸筋のストレッチと肩の細かい筋肉をストレッチする方法で大胸筋をしっかり伸ばすだけでも症状は軽減することは多いです。

 

 変な治療をするぐらいだったら、自分でストレッチした方が、予後も予防も出来るのでお勧めですが、そこから分かることは、大胸筋や肩周りの筋肉がかたまってしまっているのが問題なので、日々ストレッチを加えておくことで、寝違えを起こしにくくできます。

 

 ということで、治療対象にするのであれば痛みのある局所をやるのではなく、大胸筋や他の筋肉をほぐしていくことが大切になります。大胸筋などの直接鍼を刺入する方法もありですし、流注を考えて治療を行うのであれば、大胸筋の圧痛をみて、大胸筋付近に走行する肺経、腎経、胃経の末端部から施術を行うと予後がよりいいと思います。

 

 局所に痛みが残る場合は、局所に障害が発生しているとも考えられるので局所の施術も有効になりますが、刺入深度をしっかりしないと悪化することもあります。局所で考えていくときには、板状筋の障害ではないかとも考えられるので、頚部が痛ければ頭板状筋、背部であれば頚板状筋と考えてもいいのではないかと思っています。

 

 治療は胸椎の夾脊部を用いても効果が見られるときがあるので、局所施術を行う場合は、板状筋を考えて施術をすることが多いです。夾脊であれば刺入深度はそこまで深くはならないですし、しっかりと取穴をしておけば刺入をしても横突起になるので、気胸リスクが大幅に減ります。

 

 神経支配で考えても、大胸筋は胸神経が関与をしているので、上部胸椎に施術をすることによって、胸椎付近に緩みが生じれば、大胸筋が緩むことがあります。寝違えの治療では末端部も考えますが、板状筋・胸椎は重要なところと考えて施術を行うことがあります。

 

 特効穴で考えて行く場合は、落枕もいいですね。落枕自体がほぼ寝違えという意味になるので、寝違えはここだと教えてくれているので、使わないのはもったいないと思います。他で治療をして痛みが残っている場合に円皮鍼を貼っておくと、持続の効果が見られるので、治療時でも持続でも効果が見られるのでよく使っています。

 

 背部ということは、後頚部に関係する四総穴の列欠(列缺)や督脈の痛みと考えて督脈の八脈交会穴である後渓を使うのもいいですね。後ろ側の痛みということは膀胱経と考えることが出来るので、膀胱経でも効果が見られることがあります。

 

 膀胱経の場合は、足太陽の別脈である陽蹻脈を使うことが出来るので、八脈交会穴の申脈も使えます。こうやって考えていくと、寝違えに使うツボって結構出てきますね。

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