鍼灸治療でうつに対して治療効果があるかどうかを尋ねられることがありますが、効果があると考えることができます。
どういったメカニズムでよくなるのかと考えるときに、うつがどうやって起こるかが明確にわかっていないので、どのようによくなっていっているかを考えるのは非常に難しいと思います。例えば、仕事が忙しく、ストレスが多くかかるとうつになると言われますが、うつになる人とならない人がいるので、完全な理由にはならないです。
鍼灸で効果があると考えるのは、わかりやすいのは身体が楽になることで、精神的に楽になっていくためだと考えられます。例えば、身体中に痛みがあれば、何もする気が起きずに、元気がなくなり、落ち込んでいくと思いますが、身体の痛みがなくなれば、どこかに行きたいという欲求が出てくることがあります。
身体がだるくて仕方がない状況であれば、誰でも家から出たくないし、何もしたくなくなりますよね。
鍼灸で治療を行うと、血流がよくなり、身体の凝りもほぐれることによって、動けるようになるので、動ける身体を手にすることによって精神的にも改善がみられることは多いです。
治療をしている中でたまに患者さんから「何か元気になった」という言葉が出ることがありますが、これは身体が楽になることによって、身体全体を覆っていた霧が晴れるような感覚だと思います。
うつの治療で難しいのは、来院を出来る状態であれば治療をすることが出来るのですが、ひどくなってしまうと、治療すら受けたくないし、外に出たくなくなってしまうことがあるので、重症の場合は、側に人がいないと治療自体も難しくなると思います。
鍼灸で効果があると言っても、治療自体が出来なければ効果も発揮できないですからね。こういった場合は、往診で伺うという方法もあるのですが、電話にも玄関にも出ない状態になってしまえば、治療は完全にストップをしてしまいます。
治療自体は1回で効果が見られたという人もいるでしょうが、数か月は治療期間で見た方がいいので、途中で治療が途絶えないようにすることが大切ですし、身体と心の不調を感じてきたときに受診をして予防をするのがいいと思います。
本当にひどくなってしまうと周囲の協力などが必要になり、治療をして改善していくための道筋が困難になってしまいます。
心が元気であれば、多少疲れていても身体は動くこともできますし、身体が元気であれば心が多少疲れていても動くことができますが、どちらかが大きく低下してしまった場合は、改善するのも大変になります。
心の改善と言う場合は、身体を元気にして、心を助けてあげると考えることができます。東洋医学的な考えでは、心の問題なので、臓の心が問題として絡んでいることが多いので、診察は心を主体に診るといいと思います。
鍼に関しては、単純なものであれば百会と四神聡をあげることができますが、刺入に関しては、切皮置鍼で行う方やパルス療法を行われる方もいるので、自分のできるスキルから相手が心地よく感じる治療を選択するのがいいのではないかと思います。