技術指導をするときによく聞かれるのがコツはなんですか?だと思います。
あえて聞き返したいところは、「コツとは何か?」ですが、漠然としていてイメージが付きにくいとおもいます。ということで、技術ということを考えた時に再度聞くのは、「箸を使うコツは何ですか?」と問い返してみたいと思います。
いろいろな説明の仕方が出てくるでしょうが、真実は、“基本の持ち方と動かし方に随ってやり続ける”という点に尽きると思います。力の入れ方などは説明することが出来ても、箸を使うのは、大きなものを動かす訳ではないので、それほど力が関係しないですよね。
あえて言うならば、力の使い方と同時に意識だと思います。意味が分からないかもしれないので、「この動きをしてください」と言っても身体を本当によく動かしている人でなければ、そんなに細かい筋を分けて動かすことはできないので、イメージとして伝えることが多いのではないかと思います。
例えば、読みながら空いている手の示指伸筋だけを働かせて下さい。
と言われても、慣れていればスムーズにできますが、他の指にも動きが発生してしまいませんか?
何度か繰り返せば、他の指の動きを制限しながら出来るようになりますが、普段に意識して使っていない場合は、示指伸筋だと言っているのに顔面筋に力が入ることもありますよね。
何かをやろうとしても慣れていないと身体中に力が入ってしまうので、結局、上手く身体を使えないということは多いです。では、どうやったらうまく動かせるかといえば、身体の力を抜くことが大切になってきます。
「どうやって身体の力を抜くのか?」
という疑問が発生して当然ですね。身体の力を抜くというのは自然なことであると同時にかなり難しいことになります。身体を動かそう、つまり力を入れる状態なのに、力を抜くって矛盾していませんか?
このブログもキーボードを使ったりして書いていますが、ブラインドタッチに慣れていなければ、手が痛くなるし、場合によっては顔面筋に力が入りますよね。分かりやすいのは、慣れないことをしようとすると、額にシワが入りませんか?
どうやって力を抜いて動作を習熟できるかというと、これは反復練習が必要になります。例えば、素振りを何故やる必要があるのかということで考えれば、動きを身体に染み込ますために行っていると考えられます。
もちろん、それだけをやり続けるというのはいいことだと言いきれませんが、初めて行ったときは、身体に力が入って自然な動きとして出来ないですが、長く・量を続けることによって、力を使えなくなり、段々と脱力していきます。
脱力しながら続けると最終的に型を作ることができるので、技術の習得という点では、数をこなすというのも非常に大切になります。もちろん、どういった動きを改善した方がいいかというのは、その人自身の身体感覚によって大きく変わるので、技術を人に伝えようとするときに、相手が分かりにくいというのは、身体感覚の違いから生じることが多いです。
技術を指導するということを考えた場合は、相手の動きから身体感覚を想起して、自分の身体で動きを再現して、そこから動きや感覚を組み立てることが必要なのではないかと思います。
文章で書いてみると簡単そうな書き方になってしまいますが、技術は指導をする側も大変ですが、指導を受ける側も大変なものではないかと思います。器用な方はすぐに出来てしまいますが、これは小さい頃からいろいろなことをやって遊んでいたからかもしれませんね。