「こんにちは。」
「こんにちは。前回の治療で胃腸の調子は落ち着きましたか?」
「おかげさまで落ち着いたのですが、今日は左肩が痛いのです。」
「左肩?何かされましたか?」
「数日前に子どもを抱きながら歩いていたのですが、暴れたので、ちょっと肩を変に動かしたのか、その後から痛みが出たのです。」
「それは大変ですね。生活していて、不便はありませんでしたか?」
「そんなに気にならないのですが、ふとしたきっかけで痛みが出ることがあって、動くのが少し怖い感じがあります。」
(ふとしたきっかけで痛いということはインナーの問題かな?)
「肩をあげると痛みはでますか?」(肩の外転を目の前で行いながら)
「大丈夫ですね、この腕を少し動かすと痛みがでます。」
(外旋、内旋が入ると痛みだからやはりインナーの問題だけど、棘上筋は大丈夫そうだ)
「これできますか?」(結帯動作)
「できます、痛い!」
(やはりインナーだな。内旋で痛みが出やすいみたい。子どもを抱いていて、動いたから強制的に外旋させられて内旋筋が伸張して微細な傷でも出来たのかな)
「痛かったですね。わかりました。診察して治療に入ろうと思うので、仰向けに寝て頂けますか。」
「分かりました。」
「そういえば、前回教えて頂いたお店美味しかったですよ。美味しいもの食べ過ぎてお腹の調子が悪くなっているのではないですか?」
「行ったのですか?美味しいですよね。普段から美味しいものを食べている訳ではないですよ。」
「肉の焼き方が絶妙でしたよ。私も料理をしますが、肉を焼くと硬すぎたり、生過ぎたりで、火がしっかりと通っていて軟らかいのができないのですよね。」
「そうでしょ。しかも、安いから食べ過ぎても値段を心配しなくていいですよね。」
「食べ過ぎは駄目ですよ。気持ちはよく分かりますけど・・・。」
「気を付けます。」
「うつ伏せになりましょう。」
「はい。」
(内旋筋に問題があるかもしれないから広背筋と大円筋はどうかな?)
「ここは痛いですか?」(肩甲骨下角の外縁を押して)
「大丈夫です。」
「そうですか、分かりました。」
(広背筋と大円筋は大丈夫だったか)
「お腹はすっきりする感じがありますか?」
「あります。けど・・・先生・・・・・・痛いのは左肩ですけど・・・」
「・・・・・・・・・・・」
時間が止まります。空気も止まります。
びっくり過ぎると汗すら出ないですよ。
弁明の余地がないぐらい右肩でした。