めまいの原因―腎

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 めまいの原因にはいくつかの種類がありますが、腎が原因によって発症することがあります。腎と膀胱は頭部を支える柱の役割があります。

 腎は骨と関係をしますが、骨は何のためにあるのかと言えば、身体を支える働きがあります。もし、身体に骨がなければ、ヘビのようになってしまうので、筋肉で持ち上げない限り立ち上がることができなくなってしまいます。

 

 人が生きているためには、ヘビのように床の上だけで生活することは少ないので、立ち上がることが必要になります。小さい子どもが立ち上がることができないのは、現代医学的には筋力が足らないからといえますが、東洋医学的には骨の機能である支える力が少ないからだと考えられます。

 

 骨と関係するのは、関節もあるので、骨がしっかりすると関節の構造もしっかりして、身体を支えて動かす基礎ができあがります。そう考えると、腎は大黒柱という表現になると思います。大黒柱という表現自体が古いかもしれないですね。

 

 マンションが多いのと、家の作り方が変わっているので、イメージがしづらいですが、日本家屋を建てるときに、家と屋根を支える支柱がないと倒れてしまうので、大黒柱という強い柱を一つ入れることが大切になるので、大黒柱は大切な支柱という意味があります。

 

 身体を支えて行く働きと同時に脳という大切なものを支えていくというのが身体に対する考え方なので、めまいという頭部の不安定感がある場合は、頭部を支えられずに、ゆれてしまうと考えることができます。

 

 例えば、傘の支柱がまっすぐでしっかりしていないと、傘をさし続けることもできなくなってしまうように、頭部もフラフラと揺れてしまい、めまいになると考えられます。もちろん、周りからみて大きく揺れている訳ではないので、少しの揺れでもめまいとして感じてしまうことがあります。

 

 どういう状況で起こりやすいかと言えば、骨は支持と関係し、立つことも関係するので、立ち上がりや、立っているとめまいがするという場合は腎の問題と考えていくことができます。

 

 この場合や腎の機能を高めるために腎経のツボを選ぶと同時に支持と関係する骨会の大杼、髄会の懸鐘を使うことが必要になっていきます。

 

 膀胱はどこで関係するのかといえば、膀胱経と腎経は身体を支える働きがあり、膀胱経の機能が充実していると、背筋が伸びて頭部が身体の上にしっかりと乗っている状態を作ることができます。膀胱経が弱くなってしまうと、高齢者のように腰が段々と曲がっていってしまいます。

 

 この膀胱経を支える機能は腎経にあり、腎経は足底から始まり、腰部につながっていくので、膀胱経を支える働きがあります。膀胱経の弱りは腎経の弱りから発生することもあるので、膀胱経の支持する働きは腎経を調節することによって改善していきます。

 

 高齢者の腰が曲がった状態は、骨の変形もあるので、完全に改善するわけではないですが、治療を続けて行くと背筋が伸びていくことがあるので、膀胱経と腎経の働きは治療結果として目にも見えるものになります。

 

 外部の状態は目に見えるので意識をしやすいのですが、身体の中の腎と骨がイメージをしにくいものなので、頭部を支えるのに、骨が大切だと考えておくことが重要です。

 

 このことは、骨は髄を作り、髄は骨を栄養し、髄が充実すると髄海(脳)になると言われるので、腎精を強めていくことによって、頭部の働きを活発にすることができます。

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