めまいの原因ということで、腎、脾胃、湿に関しては書いてきましたが、他にメインになってくるのは肝になります。
肝の働きは木(曲直)と関係をしやすく、昇りやすい性質があります。そのため、頭痛とめまいは肝の症状と考えることがあります。例えば、頭痛とめまいの患者さんがいたときは、最初は肝と考えることも大切になるので、肝気上逆の症状と言われることがあります。
肝気上逆という表現では、気の問題なのか血の問題なのかを判断するのは難しいのですが、頭痛とめまいは肝の場合が多いということで、肝を疑う疾患ではないかという意味になります。
ストレスが強いと、イライラや頭痛が生じることがありますが、めまいになってしまうことがあります。肝の働きはのぼせ易いので、ストレスが生じると肝気は上昇してしまうといいます。
イライラするようになって頭痛やめまいが生じたというのはよく聞く症状になるので、めまいというときには肝を考えることが大切になります。
めまいは東洋医学では眩暈(げんうん)と呼ばれるのですが、これまでに書いた、腎・脾胃・湿・肝という内容で考えていくことが大切になると思います。
肝によって発生するめまいではのぼせを伴うことも多いので、頭顔面部にのぼせがあるかを尋ねておくのもいいと思います。のぼせがひどくなってくると、表裏の胆経にも問題が生じてくるので、胆経の走行と関係をしやすい側頭部に問題が生じることがあります。
側頭部の問題は、片頭痛ですね。ですから、片頭痛とめまいがあるというのであれば、肝気上逆であり、胆に問題が生じているのではないかと考えていくことができます。肝経の走行は頭頂部に肝経をしているので、頭頂部に痛みが発生する場合もあると思います。
病能としては上に昇ってしまっているのがいけないので、降ろす治療をすることが必要になり、陽陵泉を使っていくのも効果的になります。陽陵泉は深く刺入しようとするのではなく、5mm~1cm程度のところにひっかかるような繊維状のものがあることが多いので、それに当てるように鍼をすると効果的なことが多いです。
肝の問題では、本人が自覚をしていなくてもお腹が張っていることが多いので、下部の肋間も治療としては大切になります。鍼を刺入する際には、注意が必要になるのですが、私は透熱灸や知熱灸で対応することが多いです。
自分自身の肋間にお灸を何度かしてみたのですが、呼吸が楽になり、お腹の張りや硬さが軽減することも多いので、個人的に気に入っています。
健康・保険として自分には行っていますが、肝の問題の方は胸脇部に圧痛や動きの悪さが見られることがあるので、胸脇部を治療として用いると大きな改善が見られることがありますよ。
めまいに関しては、治療なども含めまだあるのですが、代表的なところでとりあえず、一度終わりにします。