胃がんの腹診

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 がんは、はるか昔から存在していて、多くの方にがんが発生し、身体が衰弱してなくなってしまうものです。

 進行が遅くて、問題にならないものは、そのまま経過観察になることがありますが、危険性が高い場合もあります。若い年齢で発症をすると、がん細胞の増殖もさかんになるので、早くに無くなってしまうことがあります。

 

 病気の治療法が確立されている訳ではないので、がん保険、がんにならない健康法など、がんに関わるビジネスは多い傾向にあります。分からないことは、不安でたまらないので、不安商法に近い部分もありますが、ほとんどの人ががんにかかると考えると、必要なものにもなるのでしょうかね。

 

 胃がんは、日本では多いがんになり、初期症状がわかりにくいと言われていて、実際に見てみないと分からないので、早期発見が難しいとも言われます。胃の辺りの不快感は健康なときでも生じるので、何となく調子が悪いのかなと考えてしまいますね。

 

 腹部の不快感(もたれ、痛み、食欲不振、吐気、ゲップ)は一日の中でも増減があったりして、日々感じやすいものなので、重篤な疾患と考えることが少ないですよね。

 

 東洋医学では胃がんは反胃という表現で古典文献の中にも見られています。徳川家康が胃がんだったのではないかという話しもあるので、昔から不治の病として捉えられていたことが分かります。

 

 現代では、胃がんの手術をされている方も多いので、日常診療の中でも会うことが多いのではないかと思います。私も胃がんの手術をされた方は何名も診させて頂きましたが、共通する所見があったので、最近は注意をして診るようにしています。

 

 初めて気づいたのは、マッサージをよく受けている方で、たまたま施術に入ったときに、身体の変化が他の方よりも出ないので、どこに治療の主眼を置くのか悩んでいたのですが、姿勢が前かがみで、背部に硬結が強いので、腹部に狙いを定めることにしました。

 

 腹部を軽く揉もうかと考えたところ、上脘・中脘・下脘の部位が他の部位に比べ、皮膚からすぐ下も硬く、深部に大きな堅さと冷たさを感じました。腹部なので、脾経や胃経を揉んでも変化がみられないし、冷えと硬結が変わらないので、どうしてもお腹が気になってしまいました。

 

 患者さんにもお腹が非常に悪い気がするという話しをしたら、本人は気になっていないということだったのですが、こちらがあまりにも腹部にくらいついているので、「そういえば胃がんの手術を昔にしたことある」という話しを聞くことができました。

 

 既往歴に関して聞かないところだったので、その時に初めて知ったのですが、これが反胃のお腹なのかと実感をしました。その後の治療はお腹については減らして、他の部位からの施術になったのですが、印象に残った症例になりました。

 

 その後、お腹を触ったときに、同じように表層から深部にかけての硬結と強い冷えを感じる場合は、「胃がんがないですか?」と聞くようになったのですが、数名の方が過去に手術をされていました。

 

 胃がんになったばかりの人や胃がんと診断されていないという人は、まだ会ったことはないですが、この感覚は今後に役立つのだろうと思っています。あのヒヤッとした堅さは忘れない感覚になったので、大切にしておきたいと思っています。

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