ランナーズニーは膝の外側に痛みが生じるもので、ランニング時に痛みが生じるとされていますが、ひどくなると歩行時や階段昇降時にも強い痛みが生じるので日常生活で困ることがあります。
1.ランナーズニー(腸脛靱帯炎)の原因
ランナーズニーは腸脛靱帯炎とも言われるので、腸脛靱帯に炎症が生じている状態になります。腸脛靱帯は、大腿骨の外側にあり、膝を曲げ伸ばしすると、大腿骨の外顆に擦れてしまうことで炎症が起こり、疼痛が発生すると考えられています。
主な原因は、使いすぎ(オーバーユース)と言われ、長距離ランナー、バスケットボール、水泳、自転車、エアロビクスなど、下肢をよく使用するスポーツで生じやすいです。走っている人や走っているときに痛みが生じやすいのでランナーズニーと呼ばれていきますが、一般の人でも疲労がたまると発生することがあります。
一般の人からしてみたら、ランニングをしている訳ではないのに、膝の外側に強い痛みが生じて、階段昇降も辛くなるので、何が起きているのか分からないことも多いと思います。
他にも下腿路面、シューズ、下肢のアライメントなどで発生するとも考えられているので、痛みが強く生じている場合には、身体の状態をしっかりと診てもらった方がいいと思います。
膝の外側には、半月板や靭帯もあるので、安易な見立ては怪我を悪化させてしまう原因にもなります。
2.ランナーズニーの治療
ランナーズニーが発生した場合は、使いすぎによって発生したと考えていくので、治療は安静にすることが大切です。一度、症状が治まったとしても、再発することがあるので、道具や柔軟性を高めていくことが大切になります。
腸脛靱帯は、大腿筋膜張筋につながってきているので、股関節の外側のストレッチを取り入れていくことが重要です。股関節の外側ストレッチは検索かけるとすぐに出てくるので、動画などで確認するのもいいと思いますよ。
横向きで股関節外側にテニスボールを置いて、自分の体重でマッサージをするのもいいでしょうね。
3.ランナーズニーと鍼灸治療
ランナーズニーの鍼灸治療では、大腿筋膜張筋と腸脛靱帯が大切になっていきます。腸脛靱帯に施術を行う場合は風市を用いていくのも効果的ですが、腸脛靱帯の下に滑り込ませるように刺鍼していくのもいいと思います。
大腿筋膜張筋にアプローチする場合は股関節外側が治療点になっていきますが、下着の場所にも近くなるので、施術をする際には、同性ならばいいですが異性であれば注意をしないといけないです。私は、女性のランナーズニーに対して治療する場合は、腸脛靱帯にアプローチして、大腿筋膜張筋はストレッチを指導して終わりにすることが多いですし、場合によっては手技で刺激を与えることがあります。
大腿筋膜張筋と腸脛靱帯は深部ではなく、表層にあるので、刺入深度はそれほどいらないです。体格によりますが刺入したとしても2㎝程度だと考えています。
痛みが生じている局所の部位には円皮鍼やお灸を使用することがあるのですが、お灸で火傷をさせてしまうと洋服などで擦れてしまうことがあるので、火傷をさせないようにすることが多いです。
個人的な感想としては、局所にアプローチをするよりは、大腿筋膜張筋・腸脛靱帯にアプローチする方が効果的ではないかと思っています。
4.ランナーズニーと手技療法
手技で行っていく場合は、腸脛靱帯を前後から揺するように刺激をすることが多いので、大腿外側から腸脛靱帯をはがしていくような触り方をすることが多いです。ランナーズニーの方は腸脛靱帯・大腿筋膜張筋が非常に張っていることが多いので、施術では痛みを伴いやすいので刺激量に注意をした方がいいですね。
仰向けやうつ伏せで刺激をしていくことができますが、仰向けで右足を伸ばしたまま、左側まで内転させていき、大腿外側を伸ばすようにすると、ストレッチもでき、刺激も入れやすいのでお勧めですが痛みを伴いやすいので注意しないといけないです。
5.まとめ
ランナーや走ることが多い選手で膝の外側に痛みが生じている場合は、腸脛靱帯炎を疑うことが多いので当たり前の疾患として対処していくことが多いですが、一般の人でも意外といるので、どのような状況で痛みが発生をして、何をすると楽かを尋ねておくのがいいと思います。
一般の人では、大腿前面・後面に萎縮がなく、怪我をした形跡がなければ腸脛靱帯炎を疑うのも必要だと思います。患者さんで「膝に痛みが出るようになって歩くのも辛いし、最近は階段の上り下りが辛い」という場合は腸脛靱帯炎を疑うのもいいでしょうね。
こういった方は、大腿外側・股関節外側のストレッチをするだけでも改善していくことがあるので、日々の生活の中でストレッチをやるようにしてもらいますね。