鍼の響きが出る深さ

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 鍼の響きは刺されている方が感じますが、刺している方はどのように感じているのかが分からないので、どのぐらいの深さで響くのがわかりにくいと思います。

 鍼の響きが出やすい深さは、何層かあると思うのですが、イメージとしては構造の変化するところで感じやすいのではないかと思います。構造の変化の最初は皮膚に当てるというところになるので、皮膚に当るところ、切皮の後に感じることが多いと思います。

 

 その後は身体の中に刺入をしていくので、刺入をしていく先の構造によりますが、身体の構造は、筋肉は1層であることが少ないので、何枚かの層構造になっています。その層構造の中に血管や神経が存在するので、構造を理解しておくことが響きを理解することにも繋がるのではないかと思います。

 

 そういった全体を理解するのには知識が必要になり、全ての構造を完璧に覚えるのが難しいので、一般的には感覚で表現されることが多いです。

 

 皮膚に触れるところと切皮したところは意識をしなくても、すぐにイメージすることが出来ると思いますが、刺入していく深さになると途端にイメージが出来なくなると思います。

 

 その場合は、筋肉の厚さというのを考えてもらうといいのですが、正確にはもちろん分かりませんが、私は1㎝程度ではないかと思っています。例えば、腓腹筋の下層にヒラメ筋がありますが、自分の下腿を見てもらうと、よほど筋力がついていない限り3㎝もなさそうと分かるのではないかと思います。

 

 そこから考えられることは、身体のどの部位でも刺入して1㎝前後で筋層が変わる可能性があるので、響きの感じ方が変化する可能性があるがあります。

 

 筋の構造は、筋膜・筋中・筋膜になっていて、それぞれで響きが感じやすいと思えば、筋に触れたところ、入ったところ、出るところ、次の筋膜ということで、響きが出やすくなるのではないかと思います。

 

 刺入して筋膜に到達すれば響きを感じやすくなるので、5㎜程度の刺入部位、次の筋中は0.5~1㎝、筋膜がその先、次の筋層の筋膜であれば1.2~1.5㎝になるのではないかと考えています。

 

 そのため、最初の筋層のところではゆっくりと刺入をし、筋中に入ったと思ったら刺入のスピードを上げ、筋を貫くところは次の筋層もあるので、ゆっくりにすると、自分の手の感覚が鍛えられるのではないかと思います。

 

 こういった感覚を硬い・柔らかい、弾力の違い、空虚感と言う言葉で説明をしると思うので、人が話しているときに、深さと感覚を合わせていくと、筋膜のところは硬い、弾力が強い傾向があって、筋中に入ると硬結があれば硬い・硬結がなければ空虚感になるのではないかと思っています。

 

 鍼先がどこに入っているかは画像を見ながらでないと正解は分からないので、自分の感覚と知識だけが頼りになるので、出来るだけ多くの人の身体に触れておくのが感覚を鍛えるためには大切なことではないかと思います。

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