鍼で出血はしますか

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 患者さんからの質問で出てくるのが「鍼をしたら出血をしないですか?」がありますが、この質問を頂いたときに、「髪の毛が刺さったりしたら出血しますか?」と返します。

 女性の方は髪が長いことが多いので、こういった感覚を持っている人がいるので、体感として理解できる場合があるのですが、男性の場合は髪が短いことが多く、体感をしていないので、分からないことが多いです。

 

 鍼灸を行っていると鍼をすると出血をするのがまれというのはよく分かるのですが、普通に考えたら皮膚に何かを刺したら、皮膚が切れてしまうので出血するのが当然というのもよく分かりますし、当たり前とも言えますね。

 

 ただ、皮膚を切ったからといって必ず出血する訳ではないというのは医療の知識が必要になります。出血するということは血管を傷つけてしまっていることになるのですが、身体の隅々まで管で出来ている訳ではないですし、血管の長さを全部つなげれば地球2周以上でき、面積はテニスコート6面と言われています。

 

 身体の中にこの血管はめぐらされているのですが、内臓や骨、筋肉があるので、隙間なく走行してはいないので、皮膚が切れたからといっても100%出血するとは言えません。ただし、非常に微細な血管も走行しているので手術や紙などで皮膚が切れれば出血するのは経験があると思います。

 

 鍼灸の鍼は髪の毛よりも細いものもあり、非常に細いので、血管と言う構造を傷つけるのにはサイズが細すぎます。もちろん、身体の隅々まで細かい血管があるので、当ることはありますが、鍼は軟らかいので、太い血管には、はじかれてしまうことが多いです。

 

 病院で使われる注射器で出血するのは、血管を傷つけるような構造で出来ていて、さらに太さも爪楊枝近くあるので、出血するのは当たり前ですね。この注射針の印象があるので、鍼は痛くて出血するのではないかというイメージが定着しているのだと思います。

 

 さらに皮膚はよくできた構造で、伸縮性に富んでいるのですが、破けたら閉じようとする力があるので、本当に微細な損傷であればその場ですぐに塞がってしまうので、ちょっとちくっと感じた状態では閉じてしまうことが多いです。

 

大きな傷であれば、穴になってしまい、伸縮性により広がりってしまい、修復するのに、時間がかかるのは傷がついたところが治るのに時間がかかるというのを体験しているので、分かるかと思います。

 

 鍼が出血しない理由は細くて皮膚の傷つける面積があまりにも小さいので、出血しようとしても外に出るほどの穴がないので、内出血になることはありますが体表に出血が多く出ることは非常に少ないです。

 

 さらに、血管を傷つける可能性ということで考えても、血管を傷つける構造をしていないので、傷つきにくく、血管の硬さに負けてしまうことが多いです。

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