鍼の刺入のコツは力を入れ過ぎないこと

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 力を入れないと鍼が入らないと考えることが多いと思いますが、鍼は真っすぐに押せば入っていきます。押す時は力が必要ですが、鍼が曲がらない程度の力なので、軽い力で濡分です。

 鍼が入っていかないのは、真っすぐに押せていないからか切皮が十分ではないかの可能性があるので、切皮が十分にできているのかを確認する必要があります。切皮の深さの確認で簡単な方法は、鍼管から出ている部分が全部入っていることになります。

 

 鍼管から出ている部分が全部入ると、切皮が十分にできていることがあるので、後は真っすぐに押すことなのですが、皮膚を引っ張っていたりすると、鍼は斜めに入りたがっているので、斜めに押さないと入らないです。

 

 なかなか鍼が刺入できなくて、刺してみたら斜刺だったというのは、斜めに切皮をしているところを真っすぐに入れようとする力が入っているので、力のかけ方が違うことによって生じてしまいます。

 

 鍼を押す力は、押すというよりも、手の重さをゆっくりとかけていくように行うと、鍼が自然に入っていくことになります。入りにくい方もいますが、その場合は少し時間を置くと緩んでくるからか、入りやすくなります。

 

 その力のかけ具合は難しいですし、力の加減を出来るようにすることが必要になります。例えば、細かい作業をしようとすると、最初は力の入れ方や抜き方が分からないので、肩も凝って疲れてしまいますが、慣れてくると段々と出来るようになります。

 

 パソコンのキーボードも同じで、最初は力が入って、少しの文章を入力するのも力が入り、疲れてしまうでしょうが、時間とともに慣れてくると、それほど時間と力を使わなくなるので、鍼の扱いも同じです。

 

 刺手と鍼の問題はこれで解決するのですが、後は押手の問題もあります。

 

 押手は鍼を支える役割があるのですが、最初のうちは押手に力が入ってしまい、入っていく鍼を止めてしまうことがあります。入れようとしているのを止めてしまったら、入る訳はないので、押手は鍼を支えるだけだと考えておくことが大切になります。

 

 さらに押手の置き方ですが、切皮をしてそのままのつもりでも、油断をすると皮膚を引っ張ってしまっているので、せっかく真っすぐに切皮をしても、押手が斜めにしているので、入らなくなってしまいます。

 

 勧められる方法ではないかもしれませんが、切皮をした後、両手を離して、そこから皮膚を引っ張らないように鍼を支えると、皮膚の牽引が取れるので、入りやすくなることもあります。

 

 刺手と押手があり、両手を使うので、最初は訳がわからなくなりますが、慣れていくしかないのですが、どこが悪いのかを判断するために、刺手・押手の問題を一つ一つ解決していくことが大切ですね。

 

 私も最初は大変でした。慣れるまでは大変でしょうが、丁寧に行って上手になってください。出来るようになると今度は出来ないことを出来なくなります。自転車も一度乗れてしまえば、乗れなかった状態を思い出せないのと同じですね。

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