肩峰を正確に触診するのに大切なこと

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 肩峰は肩関節の上方にあり、肩では外側に当るので、模型などを見たら触れやすく間違えようがないと感じやすいですが、慣れるまではしっかりと触れない場所の一つです。

1.肩峰の構造

 肩峰は鎖骨と肩甲骨が繋がって形成されているところで、構造としては肩甲骨の外端になります。肩峰の下部には上腕骨骨頭がありますが、直接、触れてしまうようだと互いに構造を傷つけてしまうために、間に滑液包があります。滑液包の下部には棘上筋が走行しているので、肩峰と上腕骨骨頭に棘上筋が挟まれやすい状態になっています。

 

 肩甲骨が肩峰のところで鎖骨と連結していなければ、肩甲骨は筋肉で支え続けなければいけなくなるので、筋への負担が大きくなってしまいます。鎖骨と連結していることで、上肢の重さは胸骨という体幹中心でも支えられることになるので、上肢の支持と活動の面で肩甲骨と鎖骨は重要になっています。

 

 骨は身体の深部にあり、全てを触れることができませんが、肩峰は体表ですぐに触れやすい場所にあるので、体表触診のランドマーク(指標)として重要になります。

 

2.肩峰の触れ方

 肩峰を触れる簡単な方法は、前に立っている人がいたら、その人の肩に両手をおくときに、小指が触れるのが肩峰になります。簡単に触れる部位なので、すぐに触れそうだと思うのですが、姿勢との関係があるので、簡単に触れにくいことも多いです。

 

1)肩甲棘との違いを理解する

 小さい子どものうちは、身体には癖も少なく、姿勢の問題が生じている場合も少ないですが、年とともに、生活や変形によって姿勢が変化してしまいます。パソコン、読書、スマホ、書く、見るなど、生活の中で多くの人は、前かがみになりやすいために、肩甲骨が上に上がってしまった状態になりやすいです。

 

 肩峰は肩甲棘の外縁になるのですが、肩峰は肩甲棘から繋がっているので、前かがみのような状態だと、肩甲骨が上に上がってしまい、肩峰が前方になってしまうので、位置的に高い肩甲棘外縁を肩峰として捉えてしまうことがあります。

 

 この間違いを無くすためには、肩甲骨が上に上がっていないかの確認を下方がいいので、肩情報を触れ、背部を擦り落ちたところに肩甲棘があるかどうか確認した方がいいです。肩上部で肩甲棘が触れてしまう場合は肩峰が前にあるというのが分かるので、やや前側を触れなければいけないというのが分かります。

 

 左右の肩甲棘内縁を結んだラインが第3胸椎の付近にあることが多く、左右の肩甲骨下角を結んだラインが第7胸椎の付近にあることが多いので、棘突起の位置が何となく判別出来れば、肩甲骨が上に行ってしまっていないか確認することが出来ます。

 

2)大結節との違いを理解する

 肩付近で触れやすい他のランドマークは大結節があります。肩峰を触れるに肩外側を意識し過ぎると、大結節の上部を触れてしまうことがあります。大結節か肩峰かを鑑別するポイントとしては、肩関節の内・外旋を行うと移動してしまうのが大結節になるので、肩峰だと思うところを触れたあとに、肩関節の内・外旋をしてもらうと分かりやすいです。

 

 肩峰は、肩関節の内・外旋では移動することがないですが、肩関節の屈曲・伸展・水閉屈曲・伸展のときに移動してしまうので、肩関節の内・外旋だけさせるようにしないといけないです。

 

3)鎖骨から触れていく

 鎖骨の外端は肩峰になるので、鎖骨から触れていって肩峰を探すのもいいと思いますが、身体の前方になり、異性では手の置き方や触れ方に注意した方がいいですね。鎖骨の前方から触れていくと、大結節を触れてしまいやすいので、鎖骨の上方から触れていく方がいいですね。

 

 鎖骨から肩峰を触れていったとしても、大結節を触れてしまっている場合があるので、肩関節の内・外旋をさせて大結節ではないかの確認した方がいいですね。

 

3.まとめ

 どこから触るのがいいという定義はないと思うのですが、肩峰を触れるのには、肩の上から触れる、鎖骨から触れていく、肩甲棘から触れていくというのに分けられると思います。いろいろな体型の方を触ることで、理解をしていけますが、最初の練習は触りやすい人で何度も触れて、大体の位置を覚えてから、違うところから触れるようにすれば、どこからでも触れていくことができるので、お勧めです。

 

 体型が大きい方でも鎖骨のところは、肉が付きにくいところなので、肩峰を触れていくのに便利なところだと思います。鎖骨から肩峰に触れていくことができれば、後ろ側に触れるのが肩甲棘なので、肩甲骨の位置が触れやすくなります。

 

 

 体表を触診するのであれば、解剖学の書籍を見ながら触るよりも3Dで確認しながら行うと確実ですし、私はアプリなどを使っています。

 

 身体を触るのは体表に出ているところをしっかりと触れる必要があるので、そういった内容は以下のブログを参考にしてみてください。

棘突起を触るコツ

肩甲骨を正確に触れていますか?―触診の基本

解剖学の重要性

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