お灸というと透熱灸か台座灸をイメージすることが多く、透熱灸だと火傷をするので敬遠する人も多いと思いますが、火傷をさせない方法もあります。
透熱灸で火傷をさせないというと、燃えきる前に取るという方法もあるのですが、隔物灸で行うと火傷をしなくなるので、よく使われる方法だと思います。お灸をする部位に軟膏を付けて、その上に艾炷をのせていきます。
軟膏は、薄く塗るのではなく、皮膚面の上に○のようにつけます。イメージとしては鏡餅の上にみかんが乗せられていますが、もちが軟膏、みかんが艾炷になるので、下のような状態にします。
△:艾炷
○:軟膏
―:皮膚面
軟膏は紫雲膏を使われることも多いのですが、太乙膏というのもあります。紫雲膏と太乙膏は皮膚疾患や火傷に使われるのですが、お灸を行うときの土台として使われることがあります。ただ、注意して欲しいのが紫雲膏などはタオルに付いてしまうと落ちなくなるので、管理が重要です。
お灸などで火傷したときのために、紫雲膏などを置いている治療室もありますが、そんなに使用頻度が高いものなので、置きっぱなしになっているようであれば、隔物灸として使っていくのもいい方法です。
学校によっては授業で教えるところもあるみたいですが、軟膏がないと乗せられなくなってしまうのを嫌がる学校だと、学生時代に教わらないので、どうやって使っていいか分からない人もいるので、隔物灸に使えるのは覚えておくといいです。
軟膏を付けるのに指で付けてしまうと、○にならないですし、手について艾を捻ることができなくなってしまうので、爪楊枝や綿棒、鍼管で付けることも多いと思いますが、付けた道具をちゃんと管理しないとタオルや洋服を汚してしまいます。
綿棒もいい方法ですが、使っているとボロボロになってきてしまい、扱いづらくなってしまうので、綿棒の先にボンドを付ける、綿棒に膜が出来るので、余分についてしまった軟膏も取れやすくなります。
隔物灸だと火傷をしないし、感じないからダメという意見もありますが、使って効果を出している人がいるので、自分の考え方次第ではないでしょうか。熱さは感じにくくなるので、どのぐらいで熱さを感じるのかは自分の身体でやってみておいた方がいいと思います。
私は、皮膚面に直接置く透熱灸も使いますが、熱がりの方や火傷をしたくない方には、軟膏を使った隔物灸も行います。ただし、軟膏の外に艾炷を置いたり、ちょろちょろとはみ出してしまったりしていると火傷はしてしまうので、透熱灸は上手に出来た方がいいです。
同一点に施灸できるようにしておかないと、せっかく火傷をさせないように工夫をしても火傷をしてしまいます。もちろん艾炷の大きさや硬さを調節できないのも火傷をさせてしまうので、基礎的な技術力は必須になります。