気の作用の虚実とは

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 気の作用には推動・温煦・防御・固摂・気化という5つの働きがあり、気の虚実によって働けなくなりますが、虚実だとどのような状態になるのでしょうか。

 気が弱くなってしまったときには、力が弱くなってしまうので、作用が低下するのをイメージしやすいと思います。物を移動させる力や生命力が弱くなれば推動作用が低下したと言えますし、温める力も減ってしまうでしょうし、守る働きも低下してしまい、漏れないようにしないといけないのに力不足で漏れてしまい、作る力が弱くなってしまって、何も作れなくなります。

 

 漏れるということに関しては、水を手ですくおうとしたときに隙間があれば漏れてしまうというのも経験をしているので、気の不足による作用の低下は非常にイメージがしやすいですね。

 

 実の状態になると気の力が強いので、問題が生じないのではないかと思いますが、多すぎても問題が生じてしまいます。ということで、実の状態で一つずつイメージをしてみたいと思います。

 

 例えば、6畳程度の部屋でタンスを移動させようとしたら、数名いたら楽に物を運べますが、100人集まったら早く運べるでしょうか?

 

 人が多すぎて動かす場所もなくなるし、人が多いことで空間が圧迫をされてしまいませんか。これが気の実という状態になり、多すぎて入りきらないので、脹ったような状態が出やすいので、気の実証である気滞では脹痛が発生します。

 

 温煦作用の場合は、気が動くことが温める働きにもなるのですが、人が多すぎるとその場所は熱くなりますが、他の場所に移動することができないので、他の場所が冷えてしまうことがあります。

 

 冷え症は陽虚で発生しやすいと言われますが、気滞によっても手足の冷えが出てしまうのは、気が身体の一部位で停滞をしてしまい、気が巡らずに手足に熱を送れないことで生じてしまいます。

 

 防御作用の場合は、外邪から身体を守る働きがあるものですが、先ほどの人の話しで言えば、多すぎれば、身動きが取れないので、素早い外邪が来た時に、周りが邪魔で外邪に対応できなくなってしまうので、身体を守ることができなくなってしまいます。

 

 固摂の場合は、多ければまとまっていて身体の中から物が出ることがないと考えることが出来るのですが、気の阻滞は「偏在している」というのと同じ意味を持ってしまうので、一部が厚いけど、一部は隙間がある状態が発生してしまうので、漏れ出てしまいます。

 

 気化は栄養を生成するという働きなので、台所を考えてもらえば数名ならば作業がはかどりますが、自宅のキッチンに20人の人が入ってしまえば、身動きが取れなくなってしまい、何も作れなくなってしまいます。

 

 もちろん、部屋のキッチンが20人同時に料理を出来るという家に住まわれている方の場合は、100人にしてください。

 

 これらの状態は気滞で発生すると考えることも出来るので、気滞っぽいけど、なんでこんな症状が出るのだろうと思ったら基礎の戻って考えるといいですよ。

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