「~に効果があるツボ」とよく紹介をされることがありますが、同じツボをずっと使い続けるとツボが疲労して効果がなくなってしまうことがあります。
揉むという行為だと揉みダコと言われる状態になってしまうことがあり、硬結がより大きくなってしまうことがあるので、だんだんと効果がなくなるだけではなく、症状がひどくなることがあります。
鍼でも同じツボに鍼を刺し続けると、その部位に硬結が出来てしまい、効果が薄れてきてしまうことがあります。硬くなってしまったツボは鍼を刺入するのが大変になるので、刺入力が必要になるだけではなく、鈍くなってしまうことがあるので、ツボはある程度は休ませる必要があります。
ただ、毎日のように行わない限りは、疲労することがないのですが、継続してずっと使っていると効果が鈍くなってしまうので、場所を変えることが必要です。1週間に1回程度であればツボが硬くなってしまうことは少ないのですが、太い鍼で継続した治療をしている場合は、硬くなってくることがあります。
私は、そういった話や硬くなったツボを触ったことがある経験上、同じ人に同じツボを使い続けることはしないで、少しずつ変えていくようにしています。例えば、腹部の症状がある方に対して天枢を最初に使ったら、次の時は、内側の肓兪に変えたりしています。
自分自身の経験では、鍼をして効果が見られたときに、しばらく研究のために日々、鍼や灸を行うのですが、最初に驚くほど効果があったところも、数回すると効果が低下していくのを感じています。
仕事柄、手の疲労が出やすいので、最初は合谷を使って鍼や灸をしていたのですが、あまり効果がみられなくなってきたので、他のツボを試すようになりました。裏合谷として、合谷の裏(手掌側)を揉んだり、鍼灸をしたりしていたのですが、それでも効果が薄れてきたので、他の場所を探すようになり、後渓や少府を行ってみたところ、初めて合谷に鍼灸をしたときのような疲労軽減効果がありました。
この経験があるので、しばらく同じツボを使ったら、効果がなくなってくる可能性があるので、ほどよい効果があるときに違うツボを探すために、身体の状態や触診をしっかりと行うようになりました。
患者さんに対する治療でも「ここをやってよ」ということで、いつもの定番が出来たりもしますが、毎回だと効果が薄れることがあるので、違う場所を探したり、提案したりするようにしています。
ツボが疲労するというのは、自分で実感をしないと分からないと思うので、自分に鍼灸をしてみて効果がよくみられたら、ツボが疲労するまで使ってみると分かりやすいと思います。
こうやって、日々、自分の身体に鍼灸を行うことによって、ツボの効果や疲労しやすさを研究していくと、自分の力になっていきます。ツボは治療をする上では自分を助ける仲間みたいなものですが、同じ人ばかりを頼ってしまうと、嫌われてしまうのは、人間関係でも同じですしね。