治療家としての話術

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 以前にコールドリーディングの話しを書きましたが、治療家に求められる話術があります。

 一言で言ってしまえば、分かりやすいように話すのが治療家としての話術として大切なものになります。現代医学だけではなく、東洋医学を学ぶと知っていることを話したくなるので、難しいと感じる専門用語が多い言葉で話そうとすることが増えますが、それだと相手に伝わりません。

 

 分かりやすいのが、パソコンの話しをされたとしてもCPU、ハードディスク、メモリー、OS、BIOSと言われてもさっぱり分からないし、さらにはSEOという用語まで出てきたら、専門用語を理解していないと何が起きているのかさっぱり分からないと思います。

 

 現代医学も同じで上腕二頭筋長頭腱炎が生じている場合に、上腕二頭筋の長頭腱が結節間溝部を通過していて、肩関節の内・外旋したときなどにひっかかったりしてしまい、炎症が生じているという話しになりますが、一言で言ってしまえば、「肩に炎症が起きているのです」ということで済みますよね。

 

 構造についての話しをしても理解したい人に取っては欲しい情報でしょうが、多くの人に取っては必要ではない情報になると思います。もし、肩関節の痛みが何故出ているのかということを聞かれたのであれば、「筋肉があるのですがひっかかりやすいところなのです」という説明でも済みますよね。

 

 東洋医学も同じで、自分が知っていることを話したくて「気・血・陰陽」という言葉を説明したくなるときもあるでしょうが、ほとんどの人は説明が分かりやすく、結果が欲しいと思うので、単純化することが必要だと思います。

 

 本当に簡便化してしまうのであれば、「あなたの症状にはこのツボが効きます」という一言でも済んでしまうことが多いです。何故、そのツボかという質問では、「2000年近く使われていて、多くの方の同じような症状の人に使ってきたツボなのです」という説明でも済んでしまいませんかね。

 

 ツボの話しや東洋医学の良さを伝えたいという気持ちがあるのは十分分かるのですが、そういったことは本当に患者さんが求めているのかという疑問があり、段々と簡略化してきています。

 

 東洋医学の良さは、治療効果があるだけではなく、日々の体調の問題にも対処ができる現代医学からしたら代替療法とも言われるので、その点が重要なのではないかと思います。いろいろな病気を治したというのはもちろんすごいことで大切なことにもなるのですが、身体の問題で困っている人が東洋医学で救われるのであれば、それが東洋医学の良さを伝えることになるのではないかと思います。

 

 話術で正解はないのでしょうが、どこにいっても専門用語が多く分かりにくい説明は困りますしね。もちろん、講習会などでは専門家の集まりなので、専門用語で話すのが当たり前なので、それが分からないのはよくないと思いますが、その会独自の表現もあるので、それは慣れていくしかないのかなと思います。

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