妊娠中はお腹の張りが出やすく、妊娠後期になってひどくなってくると張り止めの薬だけではなく、切迫早産になってしまうことがあるので、安静・入院になって大変ですが、自分での対処と治療をしてあげることが大切だと思います。
妊婦の方は今まで何人も診させて頂いていますが、初期~後期を通じて多くの方がお腹の張りと腰痛を訴えています。肩こりが生じたりもするのですが、お腹の張りは危険な徴候のこともあるので、ひどくならないうちに対処をしておくことが大切になります。
妊婦の方のお腹の張りで、出血・痛み・休息しても改善しない・ものすごく硬い・胎動を感じない場合は、危険なこともあるので、診察を受けるようにした方がいいものです。
お腹の張りの原因は、子宮の収縮から生じているとも考えられるので、収縮が酷くなってしまえば、胎児を降ろす力になってしまうので、早産になる可能性もあります。冷えや疲労、便秘で生じることもあるので、日々の生活も気を付ける必要があります。
といっても気を付けても出てきてしまうのが、お腹の張りになるので、治療で対処してあげるだけではなく、自宅でもお腹の張りに対してセルフケアを勧めておくのがいいと思います。
東洋医学で考えると、胎児を成長させるために、気血を子宮である女子胞に送っている状態なので、身体の疲れが生じてしまうと、気血の消耗が生じてしまいます。気血の消耗が生じた状態は、疲労が強いときに現れる腹裏拘急(ふくりこうきゅう)と考えることができます。
腹裏拘急は極度の疲労によって生じやすい、お腹のつっぱりということで、疲労を除去することが大切です。妊婦の方は胎児がいるので、重りをつけて動いている状態なので、普通の行動でも元気な方の倍ぐらい疲労をしてしまいます。
冷え(寒邪)が影響をした場合も、凝滞・収引性によって皮や筋の収縮を招いて、気血の流れが悪くなるので、引きつれるような感じと痛みが生じてしまいます。
肝は疏泄と関係し、脾胃の働きにも関与をしているのですが、肝気のうっ滞が生じてしまうと、気滞になり、腹部の張りが生じてしまうので、肝が原因となっている可能性もあります。
お腹の張りがあると、身体を動かすのが辛くなるのもあるのですが、寝ようとしても寝られなくなってしまうので、日々の管理も大切になります。
妊婦の方の治療では、お腹の張りに対しては、お腹に軽く接触をする鍼や小児鍼をすることがあるのですが、三陰交に鍼やお灸を行うのも効果的です。腰部の鍼やお灸も効果的なのですが、刺入に不安がある場合はやめておいた方がいいです。
手技で対処をする場合は、下腿の張りも強いことが多いので、下腿を緩めていくことが大切になります。その際、強く揉むという必要はないので、下腿の内側(陰経)の辺りは皮膚の可動性が悪くなっているので、皮膚に手を当てて、動かす程度でも効果が表れることが多いです。
セルフケアとして勧めているのは、冷やさないということが絶対に必要なので、腰部・お腹・足を冷やさないようにしてもらうように伝えます。それと下腿を緩めることも大切なので、浴槽で身体を洗うときに、オイルマッサージのように下腿を軽く揉んでおくのが予防になります。