患者さんの治療を行う前に必ず確認をしておかないといけないことがあります。痛み？通院歴？などではなく、違うことです。

　治療をする前に交通事故が原因かどうかを確認することが重要になります。交通事故の後にいろいろと症状が出てくることがありますが、交通事故後に病院で診断書を出す前に、鍼灸やマッサージ、整体などを受けたときには、出てきた症状が交通事故か治療によってか分からなくなるということで、交通事故の保険が下りなくなってしまいます。

　こちらからしたら、治療をして痛みが出ても交通事故の方が衝撃も多いので、明らかに交通事故だろうという気持ちになるでしょうが、それは治療者側の気持ちだけであり、交通事故に対してお金を払う側からしたら、言いがかりとも言えるスキが出来てしまいます。

　日本の医療制度は現代医学がベースとして積み上げられているものなので、現代医学の治療以外は完璧に説明をできないので、症状を悪化させた原因としても捉えられてしまいます。

　病院としても、原因は交通事故だろうと思っていても、鍼灸の治療がどういったことをするのかが分からないこともあり、鍼灸治療が先だと拒否されてしまう可能性があります。医師は全ての医療に携われるので、鍼灸も知っていて当然となるのですが、実際にはそこまでやることも出来ないので、100％でない限りは否定が出来ない状況にもあります。

　お金を払うのは患者さんや加害者ではなく、保険会社のこともあるので、保険会社からしてみれば、いくら毎月お金をもらっていても、支出は抑えるのは当然なので、本当に事故なのかというのも調査しますよね。

　そうなると、事故の後に交通事故が原因としての診断書が出る前にどこかで治療を受けてしまうと、保険を使えなくなってしまいます。最初は痛みが少ないこともあるのですが、筋肉痛は数日後がひどいように、症状も数日後に出てくることもあります。

　交通事故が起きた場合は、脳・内臓出血が危険なので、検査をすることが必要なのですが、数日後にもう一度、身体の状態を診断してもらっておくのが大切になります。

　治療は治療ですが、保険制度と関係するときには制度のことを知っておかないといけないので、必ず事故がないかを尋ねておくことが大切になります。

　最近では自転車事故という話しも出てきましたが、自転車事故でも自転車保険を使うこともあるので、自転車事故も注意が必要です。個人賠償保険という人にケガをさせてしまったときに支払われる保険もあるので、事故としての対応をしていて、保険の話しが出ているのであれば、診断書の作成後までは治療は止めておいた方がいいです。

　治療を放棄するという訳ではなく、保険金によって治療を出来るものが、自分で支払わないといけなくなるのであれば、金銭的な負担が出ますし、状況次第では休業補償もあるので、患者さんに取ってのメリットが多いので確認をしておくことが必要です。