月経に対する陰陽論

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 月経は月に1回あるものですが、これに対しても陰陽論で説明をすることが出来るので、陰陽での考え方を学ぶという意味で書いてみたいと思います。

 月経ということを考えたときに、機能と物質という陰陽の考え方を思い出してもらうことが必要になります。機能は働きと考えることができ、物質はここでは女子胞(胞宮)と考えることができます。働きは、月経そのものと捉える事が出来るので、陰陽論で捉えることが可能です。

 

 女子胞という物質がないと月経が来ることができないので、女子胞自体の機能が問題となっている場合は陰の治療として考えることができます。月経が発来するという働きは動きと関係するので、陽として考えられるので陽の治療が必要になります。

 

 構造としての治療は陰、機能としての治療は陽と考えることができますね。ただ、陰陽だけだと治療をするのが難しくなるので、陰陽からもう少し考えてみると、気血を陰陽で分類すると、血は陰、気は陽と考えることが出来るので、陰陽の調節は気血の調節として捉えていくことが可能になります。

 

 簡単な治療穴としては、気会の膻中、血会の膈兪があるので、月経の状態によって気会と膻中を使い分けることが可能になります。血は陰であり、栄養滋養する働きが強く、月経は血が出るという動きなので、動きは気として捉えます。

 

 陰陽論はさらに臓腑に対しても使用することが出来るので、臓腑の機能と陰陽を女子胞に照らし合わせて考えてみると、女子胞という構造を作るのには腎が重要になり、月経の発来には肝が重要になります。

 

 ということは、月経の陰に対する治療は腎から行い、陽に対する治療は肝から行っていくことができます。これを生理機能から説明すると、腎には生殖と関係をする精が収まっているところなので、女子胞の成熟に大きな関与をしています。そのために、女子胞の問題が生じた場合には腎を治療に加えていくことが大切になります。

 

 肝は疏泄という働きがあり、疏泄には月経は排卵を行わせる機能があるので、女性は肝を先天と考えなければいけないぐらい重要なところになります。ストレスによって月経周期が変化する場合は、肝の疏泄になるので、月経調節を考えるときには、肝を治療で加えることが必要になります。

 

 生殖器は腎で治療を考えるという単純な考え方からすれば、腎を使うのが当たり前になるのですが、月経・排卵ということを考えた場合には肝の治療が非常に重要になります。といっても、女子胞そのものを治療することも必要なので腎は治療で考えないといけないポイントにもなっていきます。

 

 腎は陰陽の根本として考えられるので、結局、腎を治療すれば、女子胞の陰陽も治療できるという考え方をすれば、腎だけの治療でも対応できると言えてしまいますね。

 

 月経では精血がないと問題になるので、気血精を生成し、女子胞に集まった血が漏れないようにする脾の働きも非常に大切になります。

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