妊婦の腰痛と鍼灸治療

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 妊婦の方は腰痛になりやすいので、治療に来られるとお腹の張りだけではなく、腰痛も訴えることが多いです。

 妊婦が腰痛になる原因はいくつかあるのですが、一番簡単なのは、胎児が大きく成長していくことによって、腹部に負担が発生している状態であり、その結果として腰部に負担がかかっていることがあげられます。

 

 胎児は成長していくのが当然なので、妊娠後期になればなるほど、重さが増えるので、腰痛もひどくなりやすい傾向があります。そういった場合には、腰部に鍼や灸を行うもの効果的なのですが、腹部が非常に牽引されている状態で皮膚の突っ張りも生じているので、吸角も効果があります。

 

 鍼や灸は刺激などに注意をすれば腰部に行うのは問題がないのですが、治療に自信がない方や治療が少し怖いという方には、吸角で行うと、安いものであればネットでも購入できるので、自宅で治療を行うことが出来るので、患者さんに勧めることがあります。

 

 しっかりした吸角の方が長く使えるのですが、自宅で行うのであれば値段と使う頻度によって物を選ぶのがいいと思います。自宅で行うと、家族に吸角を行ってもらうので、家族のお互いに治療をするということで家族の信頼も高まるのでお勧めです。

 

 妊婦の腰痛では仙腸関節部に痛みが出ることがあるのですが、この痛みは胎児が大きくなるにつれ、出産に向かわないといけないので、骨盤の関節が緩むことから生じる痛みのことがあります。

 

 骨盤が緩んでこなければ出産も行うのが難しくなるので必要なことなのですが、痛みとして感じると不快感が強いので、治療で対応していくことが重要になります。

 

 鍼と灸を行うことでも痛みの軽減はしやすいのですが、関節が緩むという持続的な原因があるので、治療するといいけど、すぐにもとに戻ってしまうことも多いです。

 

 痛みが出にくくするためにも、仙腸関節の痛みには円皮鍼で対応すると、持続的な治療効果が望めるので私はよく使っています。

 

 東洋医学的な治療を加えるのも大切なのですが、妊婦の方は足の浮腫み、腰痛、仙腸関節痛がセットになってくるのが多いので、下腿の治療、腰部の治療、仙腸関節の治療という3点は必ず頭に留めておくようにしています。

 

 下腿の浮腫みと安胎に関しては、三陰交が効果的なので三陰交にお灸をすることも多いのですが、火傷を嫌がる場合には、灸頭鍼で対応することもあります。腰部の痛みに対しても灸頭鍼を行うことがあります。腰部の血流も悪くなっているので、温めることで、気血の流れをよくする働きです。

 

 三陰交・腰部の治療をすると、胎児も元気に動き出すことが多く、逆子の方の治療に対しても使えますよ。腰部の灸頭鍼を何壮か行うとお腹の張りも大きく軽減することが多いので、お腹の張りに対する治療としても使えます。

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